新型コロナをきっかけに広がったテレワークで、多くの女性が在宅勤務と家事の両立に大きなストレスを感じている。こうした状況は、ジェンダー平等が進んでいるイメージのあるフランスでも同じようだ。フランス在住のジャーナリスト、プラド夏樹さんがリポートする。
©Emma/Massot éditions Emma『Fallait demander』(言ってくれればやったのに)より。ほとんどの女性が賃金労働と家事・育児を一手に負うことを苦痛に感じている。家事は終わることがなく、休まる時がなく、目に見えない労働だ
©Emma/Massot éditions Emma『Fallait demander』(言ってくれればやったのに)より。ほとんどの女性が賃金労働と家事・育児を一手に負うことを苦痛に感じている。家事は終わることがなく、休まる時がなく、目に見えない労働だ

家事負担に苦しむフランスの女性たち

私が暮らすフランスでは、コロナウイルス感染拡大防止のための厳しい外出禁止令が3月中旬から2カ月間続き、5月初めから徐々に解除された。5月13日にLes Echos紙で発表された調査によると、外出禁止期間にテレワークをしていた人の40%が、今後も継続することを望んでいたそうだ。

20歳から59歳の女性の8割以上が働いており、「女性が輝ける国」とイメージされがちなフランスだが、最近メディアでは、「新型コロナ、どうして女性は家事で苦しむのか」(20 Minutes 4月8日)、「新型コロナと外出禁止、どうして家庭で女性が犠牲になるのか?」(Huffingtonpost 5月10日)といった見出しが躍る。日本と同様、家庭内での男女の格差や家事分担の不均衡が問題視されているのだ。

しかし、フランスの「パートナー間の家事分担が不均衡であること」に対する女性たちの反応は、日本とは、少々ニュアンスが違う。日本の女性たちは「不満を感じている」までにとどまっている印象を受けるが、フランスの若い女性たちは「家庭内で男性が特権を濫用している」と、より政治的なレベルで問題をとらえているようだ。