理想は、ジェンダーに関係なく、自律したキャリアを築ける社会。とはいえ男女の賃金格差はまだまだ大きく、また女性は妊娠・出産・育児などのライフイベントでキャリアが中断されがち、という現実があります。ともに人生を歩むパートナー選びは、そうした現実に立ち向かうためにも超重要。この意識は、「手に職」の最たるものといえる医師であってもかわりがないようです。都内の病院に勤務する女性医師たちに伺いました。
リビングルームでリラックス若いアジアのカップル
※写真はイメージです(写真=iStock.com/itakayuki)

チェックポイント1:結婚後の働き方

結婚を考えるときには、相手との相性はもちろんながら、現時点での自分のキャリアプランを明確にしておくことも重要なポイントでしょう。「結婚後も変わらずキャリアアップしていきたい」「出産したら、育児を最優先にしたい」「ライフステージに合わせて、仕事のボリュームを調整したい」など、人それぞれに思い描く未来は違うはず。

都内の病院の産婦人科で働くA子さんも、結婚の際には自身のキャリアビジョンを見つめ直したと語ります。

「医師のキャリアは、専門性を高めていくことで積み上がります。まずは、専門医の資格を取得するのが、最初のステップアップ。産婦人科医の場合であれば、産婦人科専門医のほか、生殖医療専門医、婦人科腫瘍専門医など、それぞれの専門別にめざすサブスペシャリティが分かれます。専門医の認定試験を受けるためには、常勤として働いていた年数などの条件が課されます。アルバイトでは、自身の実績にはなりません。

ただ、常勤の場合は、診療科目にもよりますが夜勤や当直などもあり、体力的にも過酷です。パートナーに勤務体制や仕事内容への理解がない場合、常勤で医師を続けていくのは、なかなかにハード。夫婦間戦争勃発は避けられません」

女性医師同士の会話では、「結婚相手が家庭に対してどんな価値観を持っているのか」は交際中からリサーチする、という声が多く聞かれるそう。それは、結婚が自身のキャリアに影響を与えることをよくわかっているからにほかなりません。医療関係者同士の結婚が多いのは、仕事に対する理解が得やすいからという理由も大きいようです。

A子さんも交際中の彼に「あなたは、妻に働き続けてほしい? それとも専業主婦になってほしい?」と聞いたとか。

「もし専業主婦になってほしいと言われたら、どんなに好きな相手でも結婚は踏みとどまったと思います」(A子さん)