課長までは許されるが、部長は厳しい
私も昔は、論理的に整理されてさえいれば自分が正しいと思ったことを言えばいいと思っていました。会議の席で「すみません、それちょっとおかしいと思います」とか。でも、それはOBNの中では禁句です。もし男性の若手社員か誰かがそういう事を口にしたら、すぐに先輩が教えてくれます。でも、女性社員がそう言っても「女はああいうものの言い方をする」とか「女はすぐストレートに言うんだよ」と陰口を叩かれる。
男性と同様に「ああいう言い方はダメだよ」などと教えてくれれば、女性だってそうしたコミュニティ内のルールを覚えるのに、このような状態では女性はいつまで経ってもコミュニティの中に入っていけません。男性からは些末なことに見えるかもしれませんが、女性にとっては凄く大きなポイントです。そこを知らぬまま役職がついて、課長くらいまでは周囲は我慢してくれるけど、関係する他部署とのネゴシエーションが重要な部長クラスで言動がそのままだったらアウト。「君頑張ってるねー」と言われながら、暗黙のうちに爪はじきにされます。
男女差別というほど明確な差別ではありません。ただ、男性たちの社会のルールに沿ったやり方をしないと拒否反応が起こるんですよね。そこは外国人も同じです。
だから女性はまず、このコミュニティの中に受け入れてもらわなきゃいけないんです。そこからアイデアの斬新さ、異なる発想をうまくアピールすれば、男性だって優秀な人ばかりですから、認めてもらえるでしょう。
3年前にスタートした「男性ネットワーク」
私は決して男性を非難しているのではありません。でも、そうした「異なる者」を受け入れるという土壌がまだ薄い。たとえば米国の企業だったら、同じ社内に国籍が異なる人がいたり、言語も英語だったりフランス語だったり、宗教観も違っていたり。そこで軋轢を生むこともありますが、自分とは違う発想があるということに慣れています。だから、日本の男性が女性を固定観念で見過ぎていることを理解して、無意識のうちに女性をこのネットワークに入れなくしている状況を改めてほしいんです。
OBNはカルチャー、それも男性たちが良いと思っているカルチャーの問題。それだけに、扱いがとても難しいです。そこで私たちが始めたのが「男性ネットワーク」です。さまざまな業種の企業から男性管理職を集めて1年弱。1~2カ月に1回、計8回の定例会・分科会を開催します。参加者は部課長層が主で、各社の人事部やダイバーシティ関連の担当者の指名でいらっしゃる方が多いですね。
活動の内容を具体的に見ていきましょう。