自分の居場所は自分の中に作る

カウンセリングをしていると「どこにも居場所がない。寂しくてたまらない」という方に出会います。

武田友紀『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本』(飛鳥新社)

居場所がない。それは、本当は、自分の中に自分の居場所がないということなのです。

5人に1人が繊細さんとはいえ、繊細さんは世の中全体で見ると少数派です。同じ感覚を持つ人が少ない分、どうしても、相手に深く理解された経験が少ない傾向にあります。

わかってもらえない寂しさがつのると、自分の感覚や気持ちを理解してくれる人が現れたとき、「私の全てをわかってほしい! 全てを受け入れてほしい!」と自分の居場所を相手の中に求めてしまいます。

でも、考えてみてほしいのですが、人間はとてもたくさんの面や感情を持っています。誰かの感情や思考や過去、全てを自分の中に入れることができないように、自分の全てを相手の中に入れてもらうことはできません。

自分の居場所は、まず、自分の中に作ることが必要なのです。何か大変なことがあったら、「こんな自分はだめだ」と責めるのではなく、「つらいなぁ。よくがんばってきたな」と自分を慰め、いたわる。

自分の中に、自分の居場所をつくること。自分の味方でいること。それが、人とあたたかく関わるために一番必要なことなのです。対人関係のコツをお話ししてきましたが、その点をどうか忘れないでください。

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武田 友紀(たけだ・ゆき)
HSP専門カウンセラー

メーカーでの研究開発を経て独立。フリーのカウンセラーとして個人向けの人間関係カウンセリングや適職診断を行う。著書に『「繊細さん」の本』『「繊細さん」の幸せリスト』ほか。繊細の森にてコラム掲載中