周囲に映る「殻」を作っているのは自分自身

どうやったら共感できる相手、一緒にいて元気が出たり、自然体でリラックスできる相手に出会えるのでしょうか?

それをお伝えするために、まずは「人間関係の基本構造」をお伝えします。

人間関係の基本構造とは、「表に出している自分」に合う人が集まってくる、というシンプルな事実です。つまり、「本当の自分」を抑えて殻をかぶっていると、その「殻」に合う人が集まってきてしまうのです。

たとえば、本当はとてものんびりしている人が、職場では少し無理してテキパキしているとしましょう。

テキパキしていると、「テキパキしていていいな」と思う人がまわりに集まってます。そして、繊細さん自身、自分のテキパキした部分が評価されていることを感じきとるので、「のんびりした自分は求められていないんだ」とますますテキパキする。すると、さらにテキパキしたあなたを好きな人、評価してくれる人がまわりに集まる……。この繰り返しで、本当の自分を置いてきぼりにして、テキパキがよしとされる人間関係が作られてしまいます。

このテキパキは、「自分よりも相手を優先する」「わがままを抑える」などにも置き換えられます。自分の本心を抑えて相手を優先していると、「優先してもらうのが好き」な人がまわりに集まります。「相手を優先するあなた」がよしとされるので、自分の意見や感じ方に自信がなくなり、ますます自分を出せなくなってしまう。

自分を出さないようにして「殻」をかぶっていると、その「殻」に合う人が集まってきてしまうのです。

「今日は行けない」と断る勇気を持ち、去る人を見送って

この基本構造を踏まえて、繊細さんはどうしたらいいのでしょうか。

ズバリ、素の自分を出せば出すほど、自分に合う人が集まってラクになるのです。

今まで、相手の気持ちを優先していた人が、自分の意見を言ったり、嬉しいときも嫌なときも素直に顔に出してみるとどうなるか。

「自分の意見を持っているあなたが好き」「感情豊かなあなたが好き」と、自然体のあなたを好きな人がまわりに集まるのです。まわりの人が合う人なので、そもそも「嫌だな」と思うことにも遭遇しにくくなり、ますます自分らしく自分の意思を表現しながら生きるようになります。

これまで強く自分を押さえ込み、相手を優先してきた人が自分の意見を言い始めると、「人間関係の入れ替わり」が起こります。

自分の感情を顔に出したり、意見を言ったり、ときには友達の誘いを断ったりすることで「誘ったら断らないあなた」「なんでも頼み事を聞いてくれるあなた」が好きだった人が離れていく。「あなたの“殻”が好き」という、本当はあなたに合わない人たちが去るのです。

人が離れることで、一時的に寂しい思いをするかもしれません。でも、自分が感じていることを素直に顔に出し、やりたいことを大切にして過ごすうちに、必ず「素のあなたが好き」「あなたって素敵ね」という人たちと新しく出会います。

そして、皆が去っていくわけではなく、友人や家族、これまでの人間関係の中でも「そんなふうに思ってたんだ。どうしたいか言ってくれて嬉しい」と、あなたの気持ちや意志を尊重する人、あなたを大切にしてくれる人が残ります。

素の自分を出すにつれ、このように人間関係の入れ替わりが起こり、のびのびと自然体でいられる関係が増えていくのです。

自分に合う人がまわりに少ないという人は、えいやと勇気を出して「帰りに、あのお店に寄ってみたい」と自分のやりたいことを伝えたり、誘われても「今日はちょっと行けないんだ」と断ったりしてみてください。

最初は「言ってしまった」「断ってよかったんだろうか」と心が揺れるかもしれません。これまで自分の気持ちを出していなかったのであれば、うまく言えなかったり、心が揺れたりと、慣れないのは当たり前。自分の思いや意思を伝えるのも、自転車に乗るのと同じように、練習が必要です。やればやるほど上手になるので、少しずつ取り組んでみてくださいね。