簡単なことから習慣化してみよう

たとえば“漫画を描いてみたい”という人がいたとして、はじめから目標を“月に2本、新作を投稿する”と設定してしまうと、そもそも生活スタイルを大幅に変えなくてはならないので、かなりのモチベーションが必要とされるでしょう。しかし、最初の目標を“1日15分、何も思い浮かばなくてもいいから机に座ってみる”ことにして、習慣化させてみるとどうでしょうか。慣れてきたら、まずは手の形をスケッチしてみたり、ただ思いついたことをメモしてみたり、少しずつ手が動いて、机に座ること自体が習慣になってくるかもしれません。

このように、小さな階段を自分に設定していく上で大事なのは、「どれだけ自分を甘やかせるか」だとけんすうさんは言います。たとえば、彼の友人でもあるひろゆきさんは、領収書を処理しなければいけないときに、「4時間ゲームをやったら1枚処理する」くらいに基準を下げるそうです。

実際にやってみると、2枚目以降の作業は意外にもさくさくと進むのだとか。つまり、最初の1枚に取りかかるまでのハードルが高いだけで、作業をはじめてしまえば苦手なものでも案外脳が騙されて、気楽にできるようになるのです。また、4時間ゲームをして領収書を1枚だけ片づける、となると、だんだんと罪悪感が生まれるので、そこで少しお尻を叩かれた気持ちで取り組んでみる、という作用もあると思います。

ゴールまでの道のりを細分化し、言語化することがポイント

自分のやりたいゴールを細分化し、その階段を上っていくためには、何が足りなくて何が足りているのかをまず整理する必要があります。漫画の例に話を戻しましょう。たとえば、すでにキャラクターを描くことが大好きで習慣化しているけれど、キャラクターが立っている背景を描けないのであれば、まずは家の中のトイレや台所など、どこでもいいので1日1枚描いてみるのもいいでしょう。

あるいは、漫画は描きたいけれどなんのリソースもないのであれば、「今できる最初の1歩は何か?」「その1歩目はいつ踏み出すのか?」を明確にすることです。その上で、前述したように「まずは1日15分、机に座ってみる」というような最初の1歩を踏んでみるのです。はじめから「やる気が出ない」「まず何をしていいかわからない」のは、そもそも自分の中でハードルを高くしてしまっていたり、今踏み出すべき小さな1歩を大きくしてしまっていることが多いので、まずは必要なことをなるべく細かく言語化してみるといいでしょう。