戦略派の女医が必ずチェックしている自分の体のこと

仕事のスケジュールやキャリアプランと照らし合わせながら、妊娠のタイミングをコントロールしたいと考える場合、仕事以外にも見るべきポイントがあります。

「子宮や卵巣にトラブルがないかは必ずチェックしておくべきでしょう。子宮内膜症、排卵障害などがある場合、適切な治療をしないと妊娠が難しいこともあります。生理があっても、正常に排卵していないこともあり、検査を受けてはじめてわかったという人も少なくありません。自分の体についての情報がゼロでは、正しい戦略は立てられませんよね。子宮のトラブルがない人も、AMH検査を受けておくと、ライフプランを立てる際の参考になります」

そう話すのは都内の産婦人科で働くB子さん。自身も結婚と同時にAMH検査を受けたと言います。AMH検査とは、卵巣のなかにどのくらいの卵子の在庫があるかを推測できる検査。採血だけで調べることができ、産婦人科や不妊治療専門クリニックなどで受けられます。最近では、自宅で手軽にAMH値を測れる検査キットも登場。

「気づいたときには手遅れ」ということはあまり無い

「今は仕事を優先したいから妊娠はできないけれど、AMHが低めだったから卵子凍結をしておく、パートナーがいる人は受精卵の状態で凍結保存する、という人も。キャリアを積むために晩産になることはあっても、不妊になる問題はないかどうかをきちんとチェックしている人がほとんどです。気づいたら妊娠しづらい年齢になっていた、と後悔する人は少ないですね」

30代は任せられる職域も広くなり、仕事がどんどん面白くなる時期。今、この時期に妊娠、出産で1年以上も立ち止まりたくない、休んだら復帰できるかわからない。そんなふうに悩む女性も多いでしょう。ただ、妊娠・出産には適した時期があり、それはそう長くないことも頭に入れておかなければなりません。

もちろん、ベストな妊娠・出産のタイミングは、人によって違います。

子どもは何人? キャリアプランをどう描く? 子宮や卵巣にトラブルはない?

こうしたことを総合的に考えながら、強硬派でいくのか、戦略的に逆算するのか、受精卵凍結などの先進医療の力を借りるのか。主体的に選んでいくことが大事、といえそうです。

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浦上 藍子(うらがみ・あいこ)