強行突破派と戦略派。早め出産をめざす女医の2タイプ

同僚や先輩を見回しても、やはりキャリアを積んでからの晩産派よりも、30歳前後で第一子を出産する人が多いそう。

「産婦人科医という職業柄、妊娠・出産にはタイムリミットがあることもよくわかっています。高齢になれば妊娠しづらくなりますし、また高齢での出産は合併症などのリスクも高まります。はっきりしたデータがあるわけではありませんが、妊娠・出産のベストタイミングを優先しつつ、キャリアをどうつないでいくかを考える、という人が多い印象ですね」

A子さんは、早めの出産をめざす女医のなかでも、さらに「強行突破派」か「戦略派」かに分けられると分析します。

「強行突破派とは、『妊活しながら考えよう』という人。妊娠を希望しても、すぐに子どもができるとは限りません。計画的に子作りをするより、早めに妊活を始めて妊娠できたタイミングでキャリアプランを修正していくとい考え方です。子どもは2人以上と望むなら、この考え方は現実的だと思います」

3人欲しいなら、妊活は何歳から?

図表1は、2015年にオランダの研究チームが発表したもので、「欲しい子どもの数」を達成するために、「何歳までに妊活を始めるべきか」をまとめたシミュレーションデータです。3人の子どもに恵まれたいと思う人が、達成率75%をめざすなら31歳まで、達成率90%をめざすなら23歳までに妊活を始めるべきということになります。

欲しい子どもの人数と年齢の関係

「一方の戦略派は、勤続年数や専門医試験の受験資格を得る年などから逆算し、妊活するタイミングを決めようという考え方。試験を受けるためには、一定期間、同じ施設で働いていることや、治療に携わった症例数などの条件を満たす必要があります。キャリアアップをめざすなら、専門医の認定を得ることは非常に重要なんです」

昇進試験のタイミング、海外赴任や転勤の希望、またパートナーの状況なども総合的に考えながら、いつ産むべきかを考える。会社員として働く女性にも、戦略的に妊娠の時期を調整したいという考えを持つ人は少なくないでしょう。