姿勢を正して受けたテストは好成績に

コロラド大学のトミー・ロバーツは、23名の男子大学生と、47名の女子大学生に、数学のテストを受けてもらいました。ただし半数のグループは、「背筋を伸ばして椅子に座る」ように求められ、もう片方のグループは、「肩を落として、うなだれて座る」ように求められました。

その結果、どちらの姿勢をとっていても、女性のほうはテストの成績には影響がなかったのに、男性の場合には、「背筋を伸ばす」グループでは好成績だったのですが、「肩を落として、うなだれる」グループでは成績が悪くなっていたのです。

肩を落として、うなだれていると、「どうせ僕なんか、つまらない人間だし、試験もできるわけがない……」というネガティブな気持ちが引き出されてしまうわけです。女性はそうでもないのですが、男性は姿勢の影響を受けやすいので、どうもそういう気持ちになってしまうようなのです。

「元気出しなよ~」という慰めよりも効果的な声かけ

たいてい、どんな業種の仕事もそうだと思うのですが、仕事というものは基本的にそんなにうまくいきません。成功より、失敗のほうが、はるかに多いものなのです。

したがって、仕事で失敗をして、しょんぼりと落ち込んでしまっている男性を見かけたら、「ほらっ! もっと背筋を伸ばして!」といってあげるとよいでしょう。ちょっと強引なくらいに、背筋を伸ばさせるといいと思います。

そうやって背筋を伸ばしてあげると、男性のほうも気持ちを立て直すことができ、「ありがとう、もう1回頑張ってみるよ!」という意欲を取り戻してくれるかもしれません。もちろん、背筋を伸ばすように促してくれたあなたにも感謝するはずです。落ち込んだ男性を見かけたら、自分の株をあげるチャンスだと思ってください。

失敗して落ち込んでいる人に、「元気出しなよ~」とか、「だれだって失敗するんだから」と慰めても、うまくいきません。相手を余計に落ち込ませるだけです。そうではなく、「ほら! 背筋を伸ばして、もっとシャンとして!!」と、まずは姿勢を変えさせるのです。姿勢を変えさせれば、それに引きずられるようにして、気持ちのほうもしっかりしてくるのですから。

(参考)
Roberts, T. A., & Arefi-Afshar, Y. 2007 Not all who stand tall are proud:Gender differences in the proprioceptive effects of upright posture. Cognition and Emotion ,21, 714-727.