美しい所作は正しい姿勢から生まれる
「立つ」「座る」「歩く」「回る」「お辞儀をする」「物を持つ」。小笠原流ではこの6つを日常動作の基本と位置づける。すべての動きに共通するのは腰が中心になること。反動を使わず、自分の骨格や筋力を使って動かすため、はじめは思うようにいかないことも多いが、体がつくられてくると徐々に正しい姿勢が楽になる。
また、どの動作も“呼吸と動作の一致”が重要だ。呼吸に動作を合わせることで、すべての動きが一定になる。基本動作を押さえ、無駄のない効率的な動きを身につけて美しい所作へと近づけよう。
基本の動作は6つ
▼立つ
正しい立ち姿は、筋肉や内臓に負担のない自然体が基本。土踏まずの前あたりに重心を置き、脊柱の線がまっすぐになるようにバランスをとる。背骨のS字カーブがくずれた猫背や反り腰は肩コリや浅い呼吸の原因にも。スマートフォンの使用で前かがみになっていたら、いったん上を向き、首の後ろ側を緩めてから前を向くと正しい頭の位置に。
▼座る
立った状態から、女性は下座※1の足を半足出し、男性は上座※2の足を半足引いて、息を吸いながら上体を下ろしていく。女性が半足前に出すのは着物の裾が乱れるのを防ぐため。跪座※3の姿勢から正座に移行し、自分から見て腿ももが短く見えるように座る。このとき下腹を締め、両膝をつけることを意識すると◎。腿が長く見えるようなら体が反っているか、腰が引けている証し。