あなたが拠り所にしているのは、FactかOpinionか

情報収集において、最初に心がけることは、先述した通り、“Fact”と“Opinion”を区別することです。事実だけを正確に伝える“Fact”情報に対し、“Opinion”の中には、情報発信者の意見、希望、あるいは相手を誘導するための意図が含まれますし、発信者の情報処理能力にも左右されます。そのため、多様な“Opinion”が生まれ、何を信じてよいかわからない状況に陥ります。情報は、皆さんの将来の意思決定のための拠り所となります。この拠り所が曖昧では、自信を持った判断ができません。表面的な情報収集で“Opinion”ばかりを集め、判断してしまうと、後悔することになりかねません。

福山誠一郎『すごいテレワーク アイデア&成果を2倍にする方法』(PHP研究所)
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あなたが拠り所としている情報が、“Fact”か“Opinion”なのかを確認しましょう。

しかし、手にしている“Fact”情報だけでは、判断することができない場合があります。そのような場合は“Opinion”も参考にすることになります。その際に重要になることは、情報発信者の“Opinion”の根拠を理解することです。

例えば、Aの“Opinion”の根拠は、1人当たりの消費額が変わらなければ、人口の減少がそのまま経済の縮小につながるということです。以下の数式が根拠となっています。

 
経済規模=人口×1人当たりの消費額

一方、Bの“Opinion”の根拠が次の通りであったとします。人口が減ると、企業は生産の自動化やAIに投資する。そうすると、企業の設備投資が増え、経済活動が活発化し、企業内の労働生産性も高まる。1人当たりの労働生産性が高まり、単純労働からも解放され自由な時間が増える。収入が上がり、消費も増えるからチャンスである。

Opinionの根拠を理解しFact情報を収集し続けることが大事

Aが、より現実に即した“Opinion”であるのに対し、Bはその解決策を提案している“Opinion”です。現時点で、将来の企業の設備投資の動向やAIの普及状況がわからなくても、企業の設備投資やAIの普及状況を数年にわたり収集していけば、“Fact”情報も増え、Bの妥当性を判断することができるようになります。

現段階で、Aが正しいのかBが正しいのか判断できなくても、“Opinion”の根拠を調べ、その根拠となる事柄の“Fact”情報を収集し続けることで、Bの妥当性をより正確に判断できるようになり、皆さんの情報処理能力は格段に高まっていきます。

写真=iStock.com

福山 誠一郎(ふくやま・せいいちろう)
マーケティングコンサルタント

JR東日本入社、Suica新規立上プロジェクトに従事。デロイト トーマツ コンサルティングにて戦略系コンサルタント、ディズニーストアのプランナー、凸版印刷にてマーケティングプロデューサーなどを歴任。1700名以上に研修やセミナーを実施。ひとり起業により、コンサルタントとして独立。自宅で考え、発想し、在宅勤務でクライアントの売上を伸ばしている。平日5時間勤務で休日完全オフ、家事・育児をしながら安定経営を実現。