“Opinion”は使い方次第

“Opinion”も活用の仕方によっては、説得力を高めることに役立ちます。“Fact”を踏まえた上で、参考として活用すると、提案の妥当性をさらに高めることができます。

“K業界は過去5年間に毎年10%の成長を続け、1.6倍に成長しました。調査会社の予測では、今後5年間でさらに2倍に成長する見通しです。調べてみると、わが社の原料はK業界の商品にも応用できますので、K業界に参入しましょう”

いっそう、説得力が増すと思いませんか? “Fact”情報と“Opinion”情報の違いを理解した上で提案に使うことにより、提案の信頼性は大きく高まります。

もう一つ重要なことをお伝えします。企業では、定性情報よりも、数字で示される定量情報のほうが重要視されるということです。次の提案は、定量情報を省いています。

“K業界は過去5年にわたり成長を続けてきました。調査会社の予測では、今後5年間も成長する見通しです。調べてみると、わが社の原料はK業界の商品にも応用できますので、K業界に参入しましょう”

いかがでしょうか? この提案は通ると思いますか? 定性情報をたくさん集めても、定量情報が示されていなければ、あなたの提案が採用されることはありません。

このように、“Fact”と“Opinion”、定量情報と定性情報という二つの視点を取り入れることによって、情報処理能力が高まります。情報処理能力は、社会人に必要な能力です。情報処理能力が高いと社内での評価も高まります。会社の看板が使えないフリーで働く方も、情報処理能力が高いと個人としての信用が格段にアップします。

“Fact”と“Opinion”という視点に関して、より具体的に説明します。

正しいことを見抜くためには

皆さんがWebニュースや専門家のレポートなどから収集した情報には、“Fact”と“Opinion”という2種類の情報が含まれています。

例えば、“国内人口は減少している”という情報は事実ですから“Fact”です。一方、“国内の人口は減少している”という事実をもとに展開される“今後の経済も縮小する”という情報は予測ですから“Opinion”です。

情報収集をする際には、“Fact”と“Opinion”を意識的に区別する必要があります。その理由は、同じ“Fact”に対して、情報発信者によって様々な“Opinion”があるからです。例えば、

A 国内人口は減少している、このままいくと今後の経済も縮小する
B 国内人口は減少している、これはチャンスである

Aの“Opinion”とBの“Opinion”は、「国内人口は減少している」という同じ“Fact”情報から導かれているにもかかわらず、全く違ったことを言っています。そのため、しっかり意識した上で情報収集をしないと頭の中が混乱してしまう原因にもなります。