金額より納得感が大事
このように考えて行くと、株式投資というのは本質的に自分が興味を持っている会社、あるいは自分がそれについて豊富な情報を持っている事業分野の会社に対しておこなうのが本来の姿なのです。また別な視点から見れば、出資をする動機として自分がその会社を応援したいという気持ちがあっても良いでしょう。預金や融資とは異なり、先行きの儲けの額が不確実であるというリスクを負ってもお金を出すわけですから、それに対する納得度が一番重要であることは言うまでもありません。つまり、単に儲かればいいから何にでもお金を出せばいいというのではなく、自分が納得して出しても良いと思う先にお金を出すのが投資だということです。
その場合、ごくシンプルに考えると、自分が好きな会社の株を買ったり、あるいはその会社が提供する商品やサービスに素直に感動したりした時にその会社の株を買うということがあっても良いのではないかと思います。
一つの例を挙げてみましょう。今では多くの人が利用しているアマゾンですが、私がこのサービスを最初に使ったのは1998年ですから今から20年以上も前のことです。当時はまだアマゾンは日本に上陸していなかったので私は米国のamazonのサイトを使っていました。私は60年代のソウルミュージックが大好きで、その中のあるアーティストのCDを探していたのですが、なかなか見つからなかったのです。東京中のCDショップを探し歩いても見つかりませんでした。そんな時、アマゾンのサイトで検索すると一発で出てきたのです。すぐに注文すると米国から3週間後に送られてきました。
もし買っていれば10万円が1,300万円に
このサービスに私は感動しました。早速アマゾンの株を調べてみたところ、株価は20ドルそこそこでした。一瞬買おうかと思ったのですが、まだ巨額の赤字を抱えている状態だったので、「サービスは良いけど、いずれ行き詰るかもしれないな」と思って、投資はしませんでした。ところがもしその時点で投資をしていれば、今は2,600ドルを超えています(2020年6月17日)。つまり株価は130倍になったのです。もし当時10万円で買っていればこの20年あまりで1,300万円になったということです。ちなみにアマゾンが上場したのはその少し前、1997年ですが、その当時の株価は2ドルほどですからその時点からだと約1,300倍。仮に2ドルで1,000株買っていれば20万円が、その後の高値で2億6千万円にもなっているのです。