妊娠中に産後のサポート体制をととのえておく

出産はゴールではなく、スタート。トラブルがなければ出産後は5日ほどで退院となり、赤ちゃんとの新生活が始まります。

「新生児のころは2〜3時間おきの授乳が続きます。さらに産後はガクッと女性ホルモンが減るため、精神的にも不安定になりやすい。慣れない育児と孤独感から、産後うつを発症してしまうケースも少なくありません。この時期は、絶対に周囲のサポートが必要。パートナーは当然ながら、双方の両親、友人など、手助けしてくれる人のネットワークを模索して妊娠中から準備しておきましょう。産後ドゥーラさんをお願いしたり、産後ケア施設を利用するのも手です」

「産後ドゥーラ」とは、産後の女性が心身ともに安定して新しい生活に入っていけるようにとサポートする専門家。「産後ケア施設」は、産後のママと赤ちゃんのサポートをしてくれる日帰り、または宿泊型の施設です。看護師や助産師が常駐していて、体を休めながら新生児育児のポイントをゆっくり学ぶことができます。

「お仕事でも、プロフェッショナルに外注したほうがうまくいくことってありますよね。育児も同じように、外注できるところは上手に取り入れていくのがいいと思います。ドゥーラさんやシッターさんとは、相性もあります。妊娠中に一度会っておくといいですね。それから産後に備えて、便利家電を導入するのもおすすめですよ。私も育児中は義母からもらったホットクックが大活躍しています」

分娩施設の選択も産前・産後のサポート体制づくりも、まずは情報収集が大切です。とくに産む場所を決めるまでには、それほど時間の余裕がありません。どんな出産をしたいかを思い描きながら、比較・検討をし、短期間でも納得のできる自分にあった施設を選びましょう。

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月花 瑶子(げっか・ようこ)
日本産科婦人科学会産婦人科専門医

東京・新宿にある不妊治療専門クリニック杉山産婦人科に勤務。 産婦人科領域で事業展開するヘルスアンドライツのメディカルアドバイザーを務める。 共著書に『やさしく正しい 妊活大事典』(プレジデント社)、 監修メディアに「性をただしく知るメディア Coyoli」がある。