35歳以上の初産は「高齢出産」と言われ、それ以前の年齢での出産よりも妊娠中・出産時のリスクが高くなることが知られています。産婦人科医の月花瑶子さんに、35歳以上の妊娠で心に留めておきたいことを聞きました。
妊娠中の女性が感じるうつ病
※写真はイメージです(写真=iStock.com/RyanKing999)

妊娠高血圧症候群で早産のリスクが2倍に

厚生労働省の発表によると、2018年の平均初産年齢は30.7歳。出生率が減少するなかでも、40~44歳、45~49歳で出産する人は増えています。40歳以上で出産した芸能人のニュースも多く、高齢出産はハイリスクなお産である、というイメージを持つ人は少なくなっているかもしれません。

「以前に勤務していた都内の病院を例に挙げると、そこでの妊婦さんの平均年齢は35歳前後。高齢出産といっても、決して特別なものではありません。ただ、やはり年齢が上がるにつれ、妊娠中の合併症などが起こるリスクが高くなっていくのも事実。過度に心配しすぎることはありませんが、どんなリスクがあるのかを知っておくことは大事です」

高齢出産の妊婦が注意したい妊娠中の合併症の筆頭は、妊娠高血圧症候群です。妊娠高血圧症候群は、それまで正常な血圧だった人が妊娠20週以降に高血圧になった場合に診断されるもの。発症すると出産を終えるまでは治りません。

「高血圧で最もこわいのは、脳出血や痙攣などです。万が一発生すると母体の生命に関わる重篤な事態になりかねません。母体だけでなく、赤ちゃんも危険にさらされてしまう。また、妊娠高血圧症候群を発症すると、胎児の発育不全を起こすこともあります。妊娠高血圧症候群の一番の治療は、端的には妊娠を終了させることです。なので母子やいずれかの状態が悪い場合は、たとえ早産でもベストな方法として帝王切開などで分娩をすることもあります。たかが高血圧とあなどってはいけません」