塩分の取りすぎに注意し、医師の指示に従って

自分でできる予防策は、妊娠したら高血圧の兆候がなくても塩分の摂りすぎに注意すること。実は現在、治療としての極端な塩分制限はあまりよくないとされていますが、普段から塩分を過剰に摂取している人が日本人には多いのは事実です。塩分控えめを意識して、適切な量を摂取するようにしましょう。また、急激に体重が増えた場合も、妊娠高血圧症候群のリスクが高まります。

妊娠高血圧症候群は、初期段階では自覚症状がありません。それまで順調であっても、出産直前になって急に高血圧になることも。毎回の妊婦健診をしっかり受け、血圧をチェックしていきましょう。

「通常、妊娠中は軽い運動など、適度に体を動かすことが推奨されますが、妊娠高血圧症候群の症状がみられるときは、運動によって症状が悪化してしまうことも。一般的に『妊婦によい』とされていることが当てはまらないケースもあります」

「よく、妊娠は病気ではない、と言われます。でも、妊娠中はいつもの自分の体とは違う、ということもまた事実。医師の指示に素直に耳を傾ける姿勢が大事です。高齢出産の女性は、すでに自身のライフスタイルを確立し、仕事をバリバリ頑張っている方も多いですね。自分なりの健康法を持っていて、自分の体のことはよくわかっているという自負もあるため、指示を聞き入れてくれないこともしばしば。でも、それまで健康に不安がなかったからといって、妊娠中も問題が起きないとは限りません。何が起きるかわからないのが妊娠・出産なのです」

産休前の急な入院も念頭に入れて仕事を

「妊娠高血圧症候群になると、塩分やカロリーをコントロールした食事をとり、安静を維持する目的で管理入院になることもあります。ただ、突然、管理入院となると『本当に必要ですか?』『急に言われても、仕事の調整がむずかしい』と困惑される妊婦さんもいらっしゃいます。でも、入院をすすめられるときというのは、医師の管理のもとで経過を見守る必要がある状況になっているということです。高齢妊婦さんは、妊娠の経過によっては産休前に急な入院が必要になる場合もある、ということも頭に入れておきましょう。そうした心づもりがあるだけでもいざというときに冷静に対処できるのではないかと思います」

管理入院によって食生活や安静のポイントをつかみ、血圧も安定してくれば退院に。ただし、妊娠高血圧症候群は、出産を終えるまでは治らないという特徴もあります。症状が重い場合は、脳出血などの危険が起こる前に帝王切開になることもあります。