⑤ 「電話の使い方」を考え直す

「今更電話の使い方?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、メールやチャットなどのテキストだけでは伝わらないこともあります。特に上司に相談をするときは「電話にしようか」となることも多いでしょう。相談を持ちかける側としては、通話の数分間のためにしっかりと論点を整理し、音声だけでうまく伝えていくことが大事になり、その過程で論理的思考も磨かれるでしょう。

逆に、自分が部下や後輩から相談を受け、「これは電話の方がいいな」と感じたら、切り替えたほうが結果的にスムーズに進みます。インタラクティブに話さないと決まらないことや相手の中で結論は出ていないものの相談したいという懸案事項は、チームで仕事をする以上、どうしても発生するもの。そういう場合は、話を聞くだけでも部下は安心できると思います。

このようにコミュニケーションツールの使い分けを改めて見直し、効果的な使い方について実践の中で追求していく姿勢が重要になります。

⑥ 「マインドフルネス」でリモートワークでも集中

瞑想によって自分の内面と対話し心を整える。マインドフルネスは「今の瞬間に意図的にかつ判断や批判なく注意を向けることで浮かぶ意識の状態」と定義されますが、その状態を保てず、プライベートと仕事が一体化してしまうと、自分の気持ちが揺らぎ、気持ちが揺らぐと判断も揺らいで、結果的に仕事にも影響が出てしまいます。リモートワークで自宅作業が増えている今こそ、集中力を高めておきたいですね。瞑想と聞くと敬遠する人もいるのですが、マインドフルネスは既にビジネスに役立つものとして広く認められています。

⑦ 正しい「新規事業の立ち上げ方」

家電メーカーであるシャープがマスクを生産・販売しはじめるなど、これまでやってこなかった業種に踏み出す企業が増えています。ただ、新規事業は「会社にこういう強みがあるから、このビジネスならできる」というところから発想すると、たいていはうまくいきません。できるかできないかでなく、あくまで「提供しようとしている価値がユーザーに響くのか」ということをしっかり検証すべきです。新規事業を成功させるには洞察力や運も必要ですが、まずはそういったビジネスプランニングのやり方をきちんと学ぶこと。アイデア段階から正しいプロセスに沿って進めていきさえすれば、手痛い失敗はしません。

「ウィズコロナ」の時代、誰しもが「世の中が変わっていく中でどうすればいいのだろうか」という不安を抱えています。そんな中でこれらのテーマについて学ぶことは、ビジネスだけでなく、個人として生きていく上でもきっと役立つはずです。

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鳥潟 幸志(とりがた・こうじ)
「グロービス学び放題」事業リーダー

埼玉大学教育学部卒業、グロービス経営大学院経営研究科経営専攻修了。サイバーエージェントでインターネットマーケティングのコンサルタントとして、金融・旅行・サービス業のネットマーケティングを支援。その後、デジタル・PR会社のビルコムを共同創業。取締役COOとして、新規事業開発、海外支社マネジメント、営業、人事、オペレーション等、経営全般に10年間携わる。グロービスに参画後は小売・グローバルチームに所属し、コンサルタントとして国内外での研修設計支援を行う。現在は、社内のEdtech推進部門にて『グロービス学び放題』の事業リーダーを務める。グロービス経営大学院や企業研修において思考系、ベンチャー系等のプログラムの講師や、大手企業での新規事業立案を目的にしたコンサルティングセッションを講師としてファシリテーションを行う。