マネージャーとしてどうあるべきかを考えるには

ドラッカーという経営学者がいました。日本では「もしドラ(もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら)」の大ベストセラーで有名になりましたが、実際の彼は『企業とは何か』(1946)で、巨大企業への取材をもとに、マネジメントの重要性を世に知らしめただけでなく、“企業の社会的責任”“知的労働者”“民営化”などの新しい概念を、次々と打ち出した人物です。

また彼の著書には、現代でも十分生かせるすばらしいマネジメントの金言が、数多く残されています。「マネジメントとは権力ではない。人を活かす責任である」「他社との比較で自社の強みを見つけ出す」「自分に期待する者が高い成果をあげる」「イノベーションでは、まず廃棄からスタートせよ」「事業の目的は、顧客を創造することである」「顧客を想像するのではなく、直接聞かなければならない」「製品やサービスについて一番知っているのは企業ではない。顧客である」――ドラッカーがマネジメントに向ける目線は、決して“上から目線”ではなく、徹底的に謙虚な“上目線”です。彼の残した名言の数々は、間違いなく経営者や管理職の人たちが傾聴するに値するものばかりです。

なぜか“稼ぐ”ことに後ろめたさを感じるときは

せっかく起業したのに、稼ぐことに後ろめたさを感じる……、そういう人は自分のために働くのではなく「神のために働く」と考えてみてはいかがでしょうか。マックス・ウェーバーは『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(1905)で、欧州で資本主義が発達した要因を、キリスト教カルヴィン主義者の信仰心に求めています。

カルヴィン主義は、“予定説”を核心に形成されています。予定説とは「最後の審判の後、誰が救済されることになるかは、神のみぞ知る」という考え方ですが、これだと、自分が救済される側なのかどうか誰にもわからず、人々を不安にさせます。

そんな人々に安心感を与えるのが、職業労働です。なぜならカルヴィン主義では、世の中のすべての職業労働は神を支えるための“天職”であると考えるため、働いて利潤を得れば得るほど、人々は「俺がこんなに稼げたということは、仕事がうまくいった証し、つまり神の役に立った証しだ。ならこんなに役立つ俺を、きっと神さまが放っておかないはずだ」という“救いの確信”を深められるからです。

神の役に立てたという確信さえあれば、稼ぐことにやましさはなくなります。企業家の皆さんが稼ぐことにやましさを感じているかどうかはわかりませんが、実際の資本主義発展の原動力の一つとされる考えなので、参考にされるのもありだと思います。

以上、今すぐにでもビジネスに使えそうな経済学説をご紹介しました。経営に行き詰ったときや上司として悩んだときは、ぜひ彼らの著書を手にとって読んでみてください。

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蔭山 克秀(かげやま・かつひで)
代々木ゼミナール公民科講師

「現代社会」「政治・経済」「倫理」を指導。3科目のすべての授業が「代ゼミサテライン(衛星放送授業)」として全国に配信。日常生活にまで落とし込んだ解説のおもしろさで人気。『経済学の名著50冊が1冊でざっと学べる』(KADOKAWA)など著書多数。