2.仕事の会話ばかりしてしまう

新人とのコミュニケーションでもうひとつ気をつけたいのが、新人のスキルや成果にばかり注目し、メンタル面への注意を怠ってしまうことです。

今年は例年通りのトレーニングができていないこともあり、指導する側にも「早く一人前にさせなきゃ」「いろいろ教えてあげなきゃ」という気持ちが強いかもしれません。しかしこんなときだからこそ、メンタル面のコンディションをしっかり整えることが先決です。その土台があって初めて仕事に向かう気持ちが生まれ、成果や成長につながるのです。

ポイントは、新人と話をするときにいきなり仕事の中身の話をしないことです。この時期の新人は期待通りにできているかが気になり、「早く認められるようにならなきゃ」と焦っています。そんな時に「仕事ができるようになっているか」を中心とした会話だと、焦りを助長してしまうでしょう。

それよりも「今どう思ってる?」「不安なことはある?」といった感情の面にフォーカスした話をし、新人が安心できる関係をつくることを目指しましょう。

なお、新人のケアはマネジャーひとりで抱え込む必要はありません。職場内に何でも話せる相談相手がひとりでもいれば、新人の気持ちは安定します。そのために上司としてできることは、社内のいろいろな人との接点をつくってあげることです。例えば部署を超えたランチ会などで話の合う先輩が見つかれば、直属の上司や部署内の先輩に聞きづらいことも、その先輩には相談できたりするのです。そうなれば、新人はひとりで悩みを抱え込まずにすみます。

3.オンラインツールで「監視されている感」を出してしまう

外出自粛でテレワークを行う会社が増え、「いつもビデオ会議システムにログインしているように命じられ、監視されているように感じる」とやりづらさを訴える人もいるようです。

マネジャーだって忙しいわけで、部下の状況をオンラインで逐一チェックしたいと思っている人は少ないのではないでしょうか。もしかすると、「部下がサボってないかちゃんと見なさい。問題があったらあなたの責任ですよ」という会社からのプレッシャーがそうさせているのかもしれませんね。

たしかに、テレワークでは仕事の進捗がわかりづらい面はあるでしょう。その場合、頻繁に「どうなってる?」「やってるか?」と聞くのはわずらわしく、「信頼されていない」とも感じさせて逆効果です。フォーマットを決めて定期的に報告をさせたほうが効果的でしょう。

ただ、常時オンラインでつながっていること自体は悪いことではありません。実は弊社でも、新人が4月に入社して在宅勤務をしている間、「個人で仕事をするときは常にカメラオンにしてね」と言っていました。その目的のひとつは、心身の不調に気づくことです。また、入社したばかりでひとりで仕事をするというのは大変ですから、「なにか聞きたいことがあったり雑談をしたくなったら、みんなが映っている画面を見て、話ができそうな人に声をかけたらいいよ」ということも伝えてあります。

新人が疲れている様子が見えたら「ずっと同じ姿勢だと疲れるでしょ。ラクにしていいんだよ」と言ってあげるとか、上司からもオフィスにいるのと同じように声をかけてあげればいいと思います。このように不安や困りごとを解消するためにオンラインツールを使うなら、新人も監視されているというより、「見てくれている」と安心感を持って働けるのではないでしょうか。