男性には「見えない家事」は見えない

一般的に、男性には家事の複雑さが見えていません。例えば食事をつくる場合は、事前に冷蔵庫の中身を確認して、足りないものだけを買ってくるという計画性が必要です。しかし、不慣れな男性は仕事と同様に家事にも計画性が必要だとは思っていないので、すでに家にある食材を買ってきてしまうこともしばしば。

最近は、こうした「見えない家事」についての議論も始まっています。たとえば、料理や掃除、洗濯といった一般的な家事に付随していながら、別の手間がかかる作業のことを指します。食事の支度で言えば、買い物と料理以外の部分、つまり冷蔵庫の中身確認などが当たります。

洗濯用の洗剤の在庫を確保して、必要なときに詰め替える、洗った皿を食器棚に戻すといった作業も同じ。どれも一つひとつは短時間で済みますが、積み重なれば負担感が大きくなります。普段家事をしていない男性には、この部分が見えていません。いわば家事を「ナメている」状態なので、せっかくやっても妻の負担感は減らないというわけです。

家事も可視化とタスク管理を

見えない家事は「見える化」することが大切です。男性も、仕事ができる人なら見えにくいものを可視化するのは得意なはず。仕事と同じように可視化し、さらには「自分でタスク管理をする」という意識を持って行えば、最初は不慣れでもいずれ大きな戦力になるでしょう。

家事というタスクは、自分たちで管理するのが基本です。しかし、この能力は料理や洗濯の一部を単発で手伝うだけでは身につきません。料理や洗濯にまつわる、一連の見えない家事までこなしてこそ身についていくのです。

ですから、夫に家事を任せる時は思い切って“丸投げ”してみてください。夫が料理を担当するなら、「週一回」といわず、二週間程度継続して、冷蔵庫の中身確認から買い物、料理、後片付けまで全部任せるのです。

男性もこうした経験を積んでいけば、仕事で発揮している可視化やタスク管理という能力を、家事でも発揮できるようになっていくはずです。ただし、任せる際は“ゆるく”の意識を忘れずに。多少の質の低下は許容するよう心がければ、無駄な衝突も防げるはずです。