共働き家庭が増えているのに、家事をしない男性が多いのはどうしてなのか。それは、家事労働の本当の価値に気づいていないから──。家事・育児分担のあり方を研究する筒井淳也先生が“家事をしない男性”の脳内に迫ります。
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「無償労働は価値がない」という思考

近年は「男性も家事参加を」という機運が高まってきてはいますが、世界的に見ると、まだまだ日本人男性は家事をしない傾向が強いと言えます。国内の調査では、家事労働に価値を見出していない男性が多いという結果も出ています。一体なぜなのでしょう。

まず挙げられるのは「家事は労働ではない」と考えている可能性です。家事をしない男性にとって、労働とは会社でする仕事のこと。収入ややりがいが得られるものであり、それこそが労働の価値だと思っています。この考え方からすれば、収入ややりがいが高ければ高いほど、労働の価値もまた高いということになります。

それに比べて、家事は収入に直結しません。収入にならなければやりがいも感じられないので、労働としての価値はゼロになります。しかし現実的には、家事は必ず誰かがやらなければなりません。時間も労力もかかる立派な「労働」であり、会社での仕事との違いは有償か無償かという点だけです。

会社での仕事は有償労働、家事は無償労働。どちらも労働であることには変わりないのに、家事をしない男性はそこに気づいていないのです。家事に労働としての価値を感じられなければ、やりがいも感じられなくて当然。では、こうした男性は、どうすれば家事に価値を見出せるようになるのでしょうか。