
介護費用も「医療費控除」の対象
公務員や会社員などの給与所得者は、確定申告をしなくても、勤め先であらかじめ給料から所得税が天引きされています。徴収された額は、毎年末に「年末調整」で精算され、払い過ぎている税金があったら戻してもらうことができます。
ただし、「年末調整」では精算されない控除もあり、その代表的なものが「医療費控除」です。
「医療費控除」は、年間10万円以上(所得合計額が200万円までなら5%)医療費を使っていれば、それを超える額の税金が、納めた税金から控除されるというもので、申請すれば払い過ぎの税金を戻してもらえます。
意外と知られていないのは、実は「介護費用」も医療費控除の対象となっているということ。これを知らないために「確定申告」をせず、税金を払いすぎている人が意外に多くいるのです。
家族で一番収入が高い人が申告する
「医療費控除」を申請して、少しでも多くの税金を取り戻すには3つのポイントがあります。
1.家族が1年間に使った医療費をまとめて「確定申告」する
2.所得税率がもっとも高い人が「確定申告」する
3.5年以内に多額の医療費を使った年があったら、遡って申告する
「医療費控除」は、家族全員の生活費を同じ財布で賄う=共有している(生計を一にする家族)のであれば、全員が使った医療費を、まとめて確定申告することができます。
例えば、6人家族で1年間の医療費が、父2万円、母3万円、祖父4万円、祖母4万円、姉3万円、妹4万円と、家族合計で20万円かかったとします。医療費控除の対象は、20万円−10万円=10万円となり、父親の年収が600万円なら、所得税率は20%なので所得税は2万円が戻ってきます。
けれど年収300万円の娘が医療費控除を確定申告すると、税率は10%なので、1万円しか戻ってきません。
ポイントは、家族の医療費をまとめて、税率が一番高い人が確定申告することです。祖父、祖母が遠くに住んでいて必ずしも一緒に住んでいなくても、生活費を出してあげるなどしていたら、生計を一つにしていると見なされ対象になります。