家事をしない男性が気づくべき3つの価値
結論から言えば、家事労働には大きな価値があります。まず1つめは、家族が心地よく生活していけるようになるという価値。つまり、家事をするのは家族のためだという視点です。「自分が稼いでいるのは家族のため」と言う男性も多いと思いますが、その点では家事も同じなのだと気づく必要があります。
金銭が発生する労働も、発生しない労働も「家族のため」という点で等しく価値がある。この事実に気づくことができれば、やりがいも見出せるようになるはずなのです。
掃除も洗濯も料理も、誰かがやらなければ心地よい生活は望めません。では自分がやるのか、それとも妻がやるのか。そう考えればおのずと、一方に押しつけるのは恥ずかしいことだとわかります。
2つめは、家族関係を円滑にするという価値です。女性は家事にもこうした意義を見出しているという研究結果がありますが、男性の多くはまだこの意義に気づいていないようです。家族関係は、仕事はもちろん人生にも影響を与えかねません。家事分担も家庭円満の秘訣の一つなのだと、ぜひ知っていただきたいと思います。
3つめの価値は、家事は会社での仕事を支えているという事実です。誰かが食事の支度や洗濯をしなければ、会社に行く体力も着て行く服もなくなります。家事という無償労働があるからこそ、会社で有償労働ができる──。家事をしない男性には、このつながりを見ようとしない人が多いのです。もっと視野を広げて、今の生活を支えている「もう一つの労働」にも目を向けるべきでしょう。
「男らしさ=稼ぐこと」という価値観が家事を遠ざける
3つの価値についてお話ししてきましたが、これらを理解している男性の中にも家事をしない人はいます。例えば、アメリカの研究報告の中には、妻と平等に家事分担してきた男性が、失業したとたんにまったく家事をしなくなったという事例がありました。
この男性は、家事をしながらも頭のどこかで「男らしさ=稼ぐこと」と思っていた可能性があります。稼げなくなり、男らしさを発揮できる場がなくなった時、家事だけをするのは男としてのプライドが許さなかったのかもしれません。
こうした“男らしさ・女らしさ”の意識は、家事をしない男性やさせない女性を生み出す原因にもなります。夫婦とも、頭では家事分担したほうがいいとわかっているのに、いざ行動に移してみるとなぜかうまくいかない。次は、この原因について考えてみましょう。
家事がアイデンティティになっている女性の問題点
会社での仕事を男らしさと捉える男性がいるように、女性の中にも家事を女らしさと捉える人がいます。もし、男性側が家事を分担したいと思っていても、女性側が家事をすることで自分のアイデンティティを満たしているタイプであれば、効率的な家事分担は難しくなるでしょう。
効率的な家事分担とは、できるほうができる時にやるということ。女性側が家事にアイデンティティを求めていると、自分の知らないうちに済ませてあること自体が不満の種になります。また、相手に自分と同じレベルを求めている場合も、これまた不満の種になります。