P.S.を使いこなすコツは三つ

「P.S.」を書くコツは、次の三つです。

1.本文ではきちんと要件を伝える。
 そのうえで、「ちょっとだけ」プライベートな顔を「P.S.」でのぞかせる
2.相手のプライベートな領域に少しだけ踏み込んで書く
3.自分のことを語る場合は、自慢話は避け、失敗談や笑えるエピソードを書く

たとえば、こんな感じです。

臼井由妃『心が通じる ひと言添える作法』(あさ出版)
臼井由妃『心が通じる ひと言添える作法』(あさ出版)

*犬を飼っている方への「P.S.」
「P.S.もうすぐ○○ちゃん(愛犬の名前)のお誕生日ですね」

*歴史好きな方への「P.S.」
「P.S.私も歴女の仲間入りをしようと思案中です」

*オシャレに気を配っている方への「P.S.」
「P.S.○○さんのセンスを学びたいです」

*お会いした際の雑談を活用した「P.S.」
「P.S.教えていただいた○○、試してみました。最高ですね」

こんな「P.S.」があると、相手は「私に関心を持ってくれている」とか、「好みを覚えていたんだ」と感激します。

*趣味や好みが浮かばない(まだそこまでは知らない)方への「P.S.」
「P.S.最近ダイエットを始めました」
「P.S.先日、値札を一桁読み間違えました。年齢でしょうか?」

自分の近況を独り言のようにして、ひと言添えるのもいいでしょう。

自慢話はタブー。ちょっと笑えたとか、共感してもらえそうなものがオススメです。

*相手への関心の度合いを示したいときの「P.S.」
「P.S.○○様の笑顔にいつも癒されています」
「P.S.○○様の行動力に脱帽しています」

「P.S.」に「……」をプラスするのもオススメ

「……」とは、言葉には言い表せないものの置き換えですが、文章を読んだ方が「ひと息」ついたり「間」を置いたり、考える時間をつくる働きもあります。

たとえば、こんな感じです。

1「P.S.○○様とお食事している夢を見ました……」
2「P.S.撫子(なでしこ)の花を見ていて、○○さんを思い出しました……」
3「ありがとうございます、本当にありがとう……」

1は、相手への関心の深さを示しながら「……」でさりげなく願望を伝えています。

2は、照れくさいけれど伝えたいという想いが「……」に込められています。

3は、言い尽くせない感謝の想いが「……」によって表されています。

いかがですか?

会話でも文章でも人の記憶に残るのは、締めの言葉です。

たとえ最初に厳しいことを言われても、最後にやさしいフォローがあれば、厳しさが中和され、重苦しさは残りません。

「P.S.」と「……」を使い、余韻のあるメッセージにしましょう。

写真=iStock.com

臼井 由妃(うすい・ゆき)
エッセイスト、ビジネス作家、経営者、講演家

33歳で結婚後、病身の夫の後を継ぎ専業主婦から社長に転身。独自のビジネス手法で成功を収め、多額の負債を抱えていた会社を優良企業へと育てる。その手腕がさまざまなメディアで紹介され、日本テレビ系で放送された人気番組「マネーの虎」に出演するなど、好評を博す。著書も多く、『仕事・人生・人間関係がうまくいく「すなお」の法則』『デキる女は仕上げがうまい』(ともにあさ出版)『やりたいことを全部やる! 時間術』(日経ビジネス人文庫)等。