コロナ禍の最中でテレワークの導入が進み、メールやチャット、メッセンジャーなどでのやり取りが多くなりました。直接話せない分、デジタルでのやり取りがなんだか味気なかったり、悪気はないのに冷たく感じたりすることはありませんか? 今回は、エッセイスト・ビジネス作家として様々な著書を手掛ける臼井由妃さんが、冷たくならない書き方の秘訣を教えてくれます。

※本稿は臼井由妃『心が通じるひと言添える作法』(あさ出版)の一部を再編集したものです。

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※写真はイメージです(写真=iStock.com/gyro)

メールのやりとりをどう終わらせたらいいか

メールをやりとりするなかで、「いつ終えればいいのだろう?」と、悩んだことがある人も多いでしょう。

「Re. Re. Re.……」と返信メールが繰り返されるほど、自分から終えるのは勇気がいるものです。

友人や同年輩の知人など、気楽に話ができる方ならば、なんとか終えられるかもしれませんが、相手が目上の方やはじめてお会いする方、しばらくメールのやりとりをしていなかった方だと、タイミングを計るのは難しいですよね。

その思いは、相手も同じです。

「そろそろ終えてくれないかな?」
「ここで返信を打ち切ったら、マズイかしら?」

やきもきしている可能性があります。

スムーズに「終了宣言」できるのが、気が利く人というものです。

実は、それもひと言でうまくいくのです。

来週の火曜日、午後一時に渋谷の△△カフェで待ち合わせたい旨のメールを受け取ったとしましょう。

あなたが相手に、

「了解しました。来週の火曜日、午後一時に△△カフェに伺います」

と返信したところ、

「それでは、来週の火曜日、午後一時に○○カフェでお待ちしております」

と、相手からメールが届きました。

さて、あなたはどうしますか?

「お返事ありがとうございます。当日お会いできるのを楽しみにしております」

と返信されますか?

それとも、スケジュールの確認がお互いにできているのだから、これで終了していいと考えますか?

自分から“終了宣言”をしよう

以前私もこのような状況に陥り、迷ったうえで、「お返事ありがとうございます~」と返信したところ、相手からさらにメールが送られてきて、終了のタイミングがつかめず、無意味なメールのやりとりを繰り返してしまったことがありました。

こういうとき、とても有効なひと言があります。

「お忙しいと思いますので、返信は不要です」
「返信のお気遣いは無用です」

これらのひと言があれば、相手は安心してメールを終えることができます。

「失礼ではないか?」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。

相手にムダな時間を使わせないように配慮している、つまり、相手を敬い、大事にしているからこそのひと言ですから、「気が利く人だな」と、あなたを見直すでしょう。

「終了宣言」は、むしろメールでの大切な作法です。

ちなみに、私は1日100通を超えるメールをやりとりしていますが、こうした「終了宣言」をしてくださる方は、1パーセントもいません。

それだけに、終了宣言のひと言は輝いてみえます。

終了宣言のタイミングは、場所や時間の確認がお互いに取れたとき。

ぜひあなたから「終了宣言」をされてくださいね。

「P.S.」と「……」で“また会いたい人”になる

メールや手紙は、余計なことを書かず、できるだけ簡潔に、わかりやすい表現をするのが原則です。ビジネスシーンならなおさらでしょう。

でも、「お世話になっています」から始まり、「今後ともよろしくお願いいたします」で終わる文章って、とても味気なく感じますよね。

「常識をわきまえているけれど、なんだかかたい」とか「心を開いて話すのは難しいかもしれない」など、普段の相手を知らなかったり、長い間会っていなかったりすると、そう思えてしまうのも無理ありません。

かといって「最近、どう?」「相変わらず忙しそうだよね」など、くだけた言葉遣いは、「この人、大丈夫かな?」と信頼してよいのか、迷ってしまいます。

そんなとき、役に立つのが「P.S.」です。

「P.S.」とは「PostScript」の略。

手紙やメールなどで本文のあとに、ちょっとしたことを書き添える、「追記」「あとがき」「追伸」のことです。

できる人、ステキな人、とまわりから言われるような人は、本文できっちり大事なことを伝えたあとに、信頼を損なわない程度にやわらかいひと言を「P.S.」として添えるのです。

この「P.S.」があることで、さらに信頼が深まることもあります。

P.S.を使いこなすコツは三つ

「P.S.」を書くコツは、次の三つです。

1.本文ではきちんと要件を伝える。
 そのうえで、「ちょっとだけ」プライベートな顔を「P.S.」でのぞかせる
2.相手のプライベートな領域に少しだけ踏み込んで書く
3.自分のことを語る場合は、自慢話は避け、失敗談や笑えるエピソードを書く

たとえば、こんな感じです。

臼井由妃『心が通じる ひと言添える作法』(あさ出版)
臼井由妃『心が通じる ひと言添える作法』(あさ出版)

*犬を飼っている方への「P.S.」
「P.S.もうすぐ○○ちゃん(愛犬の名前)のお誕生日ですね」

*歴史好きな方への「P.S.」
「P.S.私も歴女の仲間入りをしようと思案中です」

*オシャレに気を配っている方への「P.S.」
「P.S.○○さんのセンスを学びたいです」

*お会いした際の雑談を活用した「P.S.」
「P.S.教えていただいた○○、試してみました。最高ですね」

こんな「P.S.」があると、相手は「私に関心を持ってくれている」とか、「好みを覚えていたんだ」と感激します。

*趣味や好みが浮かばない(まだそこまでは知らない)方への「P.S.」
「P.S.最近ダイエットを始めました」
「P.S.先日、値札を一桁読み間違えました。年齢でしょうか?」

自分の近況を独り言のようにして、ひと言添えるのもいいでしょう。

自慢話はタブー。ちょっと笑えたとか、共感してもらえそうなものがオススメです。

*相手への関心の度合いを示したいときの「P.S.」
「P.S.○○様の笑顔にいつも癒されています」
「P.S.○○様の行動力に脱帽しています」

「P.S.」に「……」をプラスするのもオススメ

「……」とは、言葉には言い表せないものの置き換えですが、文章を読んだ方が「ひと息」ついたり「間」を置いたり、考える時間をつくる働きもあります。

たとえば、こんな感じです。

1「P.S.○○様とお食事している夢を見ました……」
2「P.S.撫子(なでしこ)の花を見ていて、○○さんを思い出しました……」
3「ありがとうございます、本当にありがとう……」

1は、相手への関心の深さを示しながら「……」でさりげなく願望を伝えています。

2は、照れくさいけれど伝えたいという想いが「……」に込められています。

3は、言い尽くせない感謝の想いが「……」によって表されています。

いかがですか?

会話でも文章でも人の記憶に残るのは、締めの言葉です。

たとえ最初に厳しいことを言われても、最後にやさしいフォローがあれば、厳しさが中和され、重苦しさは残りません。

「P.S.」と「……」を使い、余韻のあるメッセージにしましょう。