「イースターバニーも歯の妖精もエッセンシャルワーカー」

アーダーン首相は、政策の解説や医学的な説明だけを発信していたわけではありません。時には、子どもたちにも語り掛けています。

ロックダウン中の4月初旬にはイースター(復活祭)がありました。子どもたちは、イースターバニー(復活祭のうさぎ)が庭に運んでくる卵を探すのを楽しみにしています。アーダーン首相は記者会見で、子どもたちにむけてこう話しました。

「イースターバニーは(ロックダウンでも働くことを認められる)エッセンシャルワーカーとみなされるので、安心してくださいね。でも、この状況だと、イースターバニーたちも家族と過ごしていて忙しいかもしれません。だからもし、あなたのところにイースターバニーが来なくても、わかってあげてくださいね」

ニュージーランドではロックダウン中、窓辺にぬいぐるみを置いたり絵を飾ったりして、通りかかる人たちを楽しませる取り組みが広がった
ニュージーランドではロックダウン中、窓辺にぬいぐるみを置いたり絵を飾ったりして、通りかかる人たちを楽しませる取り組みが広がった

さらに、イースターバニーのかわりに、自分でイースターエッグの絵を描いて、外から見えるように窓辺に飾り、近所の子どもたちが散歩などで通りかかったときにイースターエッグ探しができるようにしてはどうかと提案。自身のインスタグラムに、イースターエッグの塗り絵を公開しました。

アーダーン首相は記者会見で、「歯の妖精もエッセンシャルワーカー」と付け加えています。ニュージーランドなどでは、抜けた乳歯を枕の下に置いて寝ると、夜中に歯の妖精がコインに交換してくれるとされているのです。

母の日には、家で子どもたちの勉強を見ながらリモートワークをしている全国の母親にねぎらいの言葉をかけ、ソーシャルメディアでは自身の母親との思い出の写真を投稿。厳しい状況の中でも、人々に寄り添い優しさで包み込む包容力と人間性に、多くの国民が感銘を受けました。

自宅のリビングからも国民に語り掛ける

アーダーン首相は、個人のソーシャルメディアのアカウントでも発信しています。ソーシFacebookのフォロワーは116万人(ニュージーランドの人口は約500万人)以上にのぼっています。

ライブ配信もしており、この中ではFacebookに書き込まれた、国民から寄せられた子どもの登校に関する疑問や、ロックダウンで葬式ができない不安などにも答えています。

ライブ配信は、首都ウェリントンの首相オフィス、移動中の車内、帰宅後の自宅のリビングルームなどから行っており、空き時間をフル活用して、笑顔で国民に語り掛けています。コメント欄には、「世界一のリーダーありがとう」という感謝のメッセージや「疲れているようだからゆっくり休んで」という労いの言葉も書き込まれています。