リモート勤務などで年金保険料が減る可能性あり

ここで考えたいのが、コロナ禍の影響である。

前述のとおり、報酬月額には基本給のほか、残業手当や通勤手当、住宅手当なども含まれる。4月~5月は緊急事態宣言や自粛要請により、在宅勤務、自宅待機になった人も少なくないし、6月もその影響が続いている。その間、通勤手当や残業手当が支給されなかった人もいるだろう。基準になるのは4~6月報酬月額なので、場合によっては等級が下がり、保険料が安くなることも考えられる。保険料が下がれば、将来の年金額に影響する、という可能性もあるのだ。

通常、4~6月の報酬を基にした標準報酬月額は、その年の9月から翌年の8月まで適用されるが、報酬が大きく変化し、等級が2等級以上変わる場合には、改定時期を待たず、4カ月目から新しい等級が適用される。

例えば月収40万円の人が、3月~5月は休業となり、休業補償が24万円(40万円×60%)となった場合について見てみよう。標準報酬月額は、24万円(24万円+24万円+24万円÷3)となり、厚生年金の等級は「24」から「16」に下がる。2等級以上の変更となるため、6月から等級が変更され、厚生年金保険料の自己負担分は3万7515円から2万1960円となる。

支払い困難な個人事業主やフリーランスは?

一方、個人事業主やフリーランスは自身で国民年金の保険料を払う。保険料は一律で、収入が多くても少なくても、一定の額を支払う。では、もしも、コロナ禍で支払いが難しい場合はどうなるだろうか。

新型コロナの影響により、仕事を失ったり、収入が相当程度まで下がったりした場合、また2月以降の状況から見て、今年中の収入が一定水準以下になることが見込まれる場合には、臨時特例措置として保険料支払いの免除や猶予が受けられる。

保険料免除には、「全額免除」、「4分の3免除」、「半額免除」、「4分の1免除」のほか、「納付猶予」、の5段階がある。例えば、本人、配偶者、世帯主の年間所得の見込み額が、「158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等以下」の場合、4分の1免除など、所得などに応じて措置が決まる(扶養親族等控除額+社会保険料控除額等は前年の確定申告書や源泉徴収票で確認)。

国民年金保険料には前納という制度があり、最大2年分を一括で前払いできる。2年分前納の場合、毎月支払うより2年間で1万5000円程度安くなる。半年分、1年分、2年分などの前納をしたけれど、コロナ禍で収入が厳しくなった、といった場合は、免除を申請したあとの保険料を還付してもらうこともできる。

臨時特例であり、対象となるのは、令和2年2~6月分までの保険料だ。7月分以降の免除などについては、改めて申請することになる。