昭和な上司が進んでリモート営業をしたくなる秘策

一方、「営業はお客様に会わなきゃ始まらない」「緊急事態が終わればコロナ前の働き方に戻りたい」と考えている昭和的な上司もまだまだ多くいます。

そんな上司にリモート営業に前向きになってもらうひとつの方法は、小さくても良いので成功事例を作ることです。

古いタイプの上司が二の足を踏んでいるのは、「Zoomってどうやるの?」「ミュートってなに?」といった、新しいテクノロジーやツールへの戸惑いや恐怖が原因だったりします。部下やお客様の前で恥をかきたくないわけです。

これは慣れの問題ですから、「部長、一度でもいいからやってみましょう」「お客様の反応を見てみましょう」と言って、まずはやってみてもらうことです。

その際に、デジタルに慣れていないお客様と引き合わせてしまうと「やっぱり直接会わないとね」という話になりかねません。外資系や比較的若手の担当者がいるような、オンラインの経験値が高い相手との商談を設定するのがポイントです。そして、お客様のほうから「リモートでも十分できますね!」「これからもリモートでやってくれれば、うちも助かりますよ!」と言ってもらえれば、古いタイプの上司も納得せざるを得ないでしょう。

営業というのは「まずはお客様ありき」で、自社の都合だけで新しい働き方を推し進めるわけにはいかない難しさがあります。でも、「お客様のため」という共通の目的に向かって関係者が力を合わせることができるのも、営業の醍醐味です。ぜひ、みんなでこの危機を乗り越えて、with、afterコロナの営業のあり方を作り出していきましょう。

写真=iStock.com

太田 彩子(おおた・あやこ)
一般社団法人 営業部女子課の会 代表理事Founder

1975年生まれ。リクルートHot Pepper創刊に携わり、営業として社内MVP制度で複数回表彰を受ける。その後、2006年べレフェクトを設立。人材開発コンサルタントとして女性営業を中心に5万人以上を支援してきた。09年より営業女子のためのコミュニティ「営業部女子課」を全国で展開、勉強会やイベントを多数開催している。著書に『売れる女性の営業力』(日本実業出版社)、『1億売るオンナの8つの習慣』(かんき出版)、『営業女子 働き方の基本がわかる教科書』(プレジデント社)などがある。内閣府特命担当大臣表彰「平成28年度女性のチャレンジ賞」受賞。日本政府「WAW!」アドバイザーズ。株式会社コナカ社外取締役、アライドアーキテクツ社外取締役。早稲田大学卒業。筑波大学大学院修了(カウンセリング心理学)。