執拗な監視・催促は逆効果
リアルなオフィスとは違い、同じ空間にいないことで部下の動きが把握できないのがリモートのもどかしいところ。それは仕事のバーチャル化が進むにつれて、誰もが感じていることでしょう。ですが、まるで監視するかのように(その必要がないのに)常にオンラインにしておくことを求めたり、すぐに返事がなかったときにしつこく電話やメールで催促したりというのはちょっとやりすぎ。
これまでのオフィス業務同様、すぐに応答できなかった部下も決して仕事をサボっているわけではなく、ほかの急ぎの作業をしていたり、クライアントと電話をしている最中かもしれません。
無駄な監視は相手を萎縮させ、健全な労働環境を奪うことにもなりかねません。第一、常に見張られているような状況下で本領を発揮できる人なんてなかなかいないはず。そればかりか、管理職である自身の仕事の効率も下がることでしょう。
リモートワークにおいて大切なことは、部下の一挙手一投足すべてを監視することではなく、信頼をもってある程度の許容範囲を示すこと。管理職の人たちが、「仕事として結果を出す」というシンプルな本来の目的さえ見失わなければ、まるで“見張り”ように部下をコントロールする作業は必要なくなるのです。
リモート上での伝わり方に配慮する
直接会えないともなると、増えてくるのがチャットやメール。リモートワークとは切っても切り離せないツールですよね。しかしながら抑揚や間が伝わらないぶん、「こんなふうに書いたら相手がどう受け取るか」という想像力がいつもに増して大切になります。とくにクイックなやり取りが多くなるチャットでは、急ぐがあまり単語でぶっきらぼうに伝えたり、感情的になったりしないよう気をつけましょう。こちら側が何を伝えたいかにプラスして、相手にどう伝わるかを客観的に考える必要があるのです。
それはオンライン会議での“カメラ映り”でも同じこと。この“カメラ映り”とは美醜の問題ではなく、コミュニケーションの一環にもなる振る舞いの話です。
たとえば自分としては発言者の話を真剣に聞いているつもりでも、まるで静止画のように無表情・ノーリアクションでは、「もしかして怒ってる?」「ちゃんと聞いているのかな?」と周りに余計な心配をさせてしまいます。また反対に、話に割って入ることが難しいオンラインでのやり取りでは、自分ばかりが発言したり、相手の言葉にかぶせるのは絶対NGです。
初めてのことだらけで誰もが戸惑うリアルとリモートの境界線。けれど“リモハラ”も“テレハラ”も、はじまりは相手の気持ちを思いやるマナーの欠如から。非常事態だからこそ、上司も部下もお互いの立場に気を配って、できるだけストレスのない働き方を少しずつつくりあげたいものです。
写真=iStock.com
新ファッションウェブマガジン「LIV,」女性ファッション誌のフリーエディターをしながら執筆家としても活動、いくつかの連載を掛け持ちする。アメブロやnoteなどのブログでは、大人の女性に役立つファッション・仕事・サステナブル・ライフスタイル・独自の人生哲学を発信。