アメリカの新型コロナウイルスの感染者数は、5月29日時点で170万人以上、死者の数も10万人を超え、いずれも世界最多だ。政府や国際機関の職員が多く住む首都のワシントンD.C.では、連邦政府が率先してテレワークに移行したが、政府機関では以前から、テレワークの取り組みを推進していたという。その背景と現状を、ワシントンD.C.在住のライター、笹栗実根さんがリポートする。

ロックダウンで人影が消えた首都ワシントンD.C.

東海岸にある首都ワシントンD.C.エリアで、最初の新型コロナウイルスの感染者が確認されたのは3月5日です。その後急速に感染者数が増え、30日には外出禁止令が発令されて4月1日からロックダウン(都市封鎖)が始まりました。外出禁止令は、ようやく5月29日に解除されましたが、3段階の第一段階にすぎず、レストランは屋外のみ、美容院も入店者の人数制限があるなど、今も多くの制限が課されています。

閉鎖された地下鉄の駅
閉鎖された地下鉄の駅

ワシントンD.C.は桜で有名ですが、今年は花見も禁止されました。地下鉄の駅は4分の1が閉鎖されて電車の本数も減少。スーパーは営業時間を短縮して入場制限を行い、店の前には入場を待つ人たちの行列ができました。その行列も、前の人との間隔は6フィート(約1.8メートル)を保っています。そして、企業や官公庁が一気にテレワークに移行したことで、地下鉄車内やオフィス街から人の姿が消えました。