ツイッター社の、希望する社員は永久に在宅勤務を認めるというニュースが話題になった。コロナ後もリモートワークが基本となるなら、オフィスの存在意義は――?
インダストリアルデザインの無人オフィス
※写真はイメージです(写真=iStock.com/ismagilov)

在宅勤務ではクリエーティビティは下がるか

米東部のニューヨーク(NY)、筆者が暮らす隣接・ニュージャージー(NJ)州で、一部職種を除く在宅勤務が命じられ、学校が閉鎖してから2カ月以上がたった。自宅待機令の効果で、感染者数が多く全米ワースト1、2の両州も、被害を示す各指標は改善しており、カナダ国境近くのNY州北部など一部では、経済活動が段階的に再開された。ただ、人口が集中し、日本人が多く暮らすNY市やNJ州北部などでは当面、在宅勤務が続きそうだ。在宅勤務=ワーク・フロム・ホーム(WFH)の長期化は、米国でどのような影響を与えているのだろうか。

「創造性は、自然に発生するミーティングや思いつきで開かれたりする議論から生まれる」

アップルの共同設立者、スティーブ・ジョブズ氏は、WFHに反対していたことで知られる。同社社員による最高の仕事は、自宅でEメールの受信ボックス前に座っているのではなく、たまたま他の人にぶつかったときに生み出されると確信していたという。

スタンフォード大学のニコラス・ブルーム教授らは2014年、中国のオンライン旅行会社を対象に、WFHに関する実験を実施。研究によると、職場以外で働いた社員はオフィスで働く同僚に比べて13%効率的だったと実証された。一方、彼らは生産性の面では優れていても、創造性や刷新的な考えを生み出す面が見過ごされてしまうことも判明。それぞれが離ればなれになると、チームとしての結束力が低下することも分かった。

ジョブズ氏が亡くなってから、来年で10年。今回の新型コロナウイルス禍について、何を思うか知る由もないが、有為転変の世の中で、常に時代をリードする米国の主要IT業界の間では、在宅勤務に対する革命的な動きが広がっている。