キャベツは外側、豆類は黒豆と小豆が病気予防に効果的

どんな野菜がウイルスやガン予防に効果的なのでしょうか。私達の研究では、一般に緑色の濃い野菜が活性酸素の中和能力・ファイトケミカルの力が強いことが分かっています。

すなわち、同じハクサイやキャベツでも内側の白い部分よりも外側の緑が濃いところの方が有用です。またハウス物よりも紫外線を多く受けた露地物の方が、抗酸化力がはるかに強いことも分かっています。

ダイコンやニンジンは根よりも葉の方が50~100倍も強く、豆類では黒豆、小豆、緑豆、大豆が特に高い値を示しました。中でも有色の黒豆と小豆が最も強く、次いで緑豆、大豆の順となっています。

ごま、菜種、ナッツなどのいわゆる種子類も有能な食品です。植物の種は、もともと子孫を残すための素ですから、DNAや子孫を育てるための栄養素がびっしりと詰まっており、命そのもののようなものです。

酸素や光で損傷しないように、強力な抗酸化作用を持つ防御成分も含まれているのは当然といえば当然でしょう。

根菜ではレンコン、サトイモ、サツマイモ、ジャガイモなどが良く、切り口が褐色に変わるものがお勧めです。褐色になる理由はポリフェノールが含まれているからで、空気に触れると褐変するのです。根菜類はファイトケミカル以外に、食物繊維の含有量も多く、毎日の食卓に是非取り入れたい野菜です。

野菜スープに豊富に含まれる水溶性食物繊維、不溶性食物繊維は、腸内の善玉菌を増やして免疫力を高めてくれることが分かっています。

さらに私達は、水溶性食物繊維が白血球を直接活性化することも確認しています。ファイトケミカルの力にプラスして、野菜スープは、ガンや感染症予防の強力な助っ人になるのです。

生より野菜スープが効果的な理由

ガン予防やウイルス防御に良い野菜が分かったら、次はどう効率良く身体に吸収するかです。

野菜は、当たり前ですが植物細胞でできています。この植物細胞は、細胞をくるむ膜とそれをまるごとくるむ細胞壁の二重構造になっています。一番外側の壁はカプセル様で、硬い構造物。私達が少々噛かんだくらいでは容易には壊れません。

この野菜の細胞壁は生の状態ではすりつぶしてもなかなか壊れませんが、加熱するとすぐに破裂して、中の有効な成分・ファイトケミカルや食物繊維が外に出てきます。生ですりつぶすよりも、抗酸化力は10倍から100倍にもなります。

野菜ジュースやスムージーが人気ですが、ジューサーやミキサーで処理しても、実は細胞壁はほとんど壊れないのです。

つまり、野菜は加熱して食べる、温野菜に限るのです。野菜の栄養成分を吸収するには煮る、炒める、蒸すなどの加熱によって、まずは細胞壁を壊してから食べることが大切です。

特に5分以上煮込むと、その煮汁にはウイルスやガン予防に大切な成分がたくさん抽出され、余すことなくいただけます。私が野菜スープを推奨する大きな理由です。

私の体験からも、スープを作ることは、比較的簡単ですし、煮汁も活用でき、冷凍すれば作りおきもできるので、特にお勧めです。