1.大人の女性を老けて見せる

黒について、顔映りの面から見ていきましょう。

顔のそばに明るい色を持ってくると、その明るさが顔に反映し、肌が明るく見えます。シミやシワが目立ちにくくなります。反対に、顔のそばに暗い色を持ってくると、その暗さが顔にも反映し、肌が暗く濃く見えることになります。

人の目に見える色のなかで、いちばん明るい色が白、いちばん暗い色が黒です。白と黒で顔映りを比べると、顔色の変化がよくわかります。

実際に、洋服を顔の下に当ててみるとわかりやすくなります。黒い服と白い服の両方をお持ちのかたは、「交互に」首元に当て、鏡で見てください。ハンカチでもかまいません。

しっかり自分の顔を見つめてみましょう。その効果は一目瞭然。白い服を首元に当てたときと比べ、黒い服は顔色を暗く見せているはずです。とくに、ほうれい線やあごのラインなど、顔の下半分に顕著に表れます。

顔は服と一体化して見えやすく、色が同化して見えることが多くなります。顔のそばにある服が明るい色ならば顔も明るく見え、暗い色ならば顔も暗く見えます。暗い色は、顔にあるものを、より濃く見せ、影もつくります。

アラフォーのころから、目元のシワ、クマ、ほうれい線、シミなど、いくつかの悩みが増えてきていませんか。黒を顔のそばに持ってくると、それら「悩み」の部分が、服の色と同化し、より濃く深く見えてしまうのです。

肌の色も暗くなり、シワやクマが濃く見えることで、顔に険しさも感じさせます。このため、大人の女性が黒を着ると、実際よりも老けて見えてしまうのです。

もちろん、どんな色にも、マイナスの効果があれば、プラスの効果もあります。黒のプラスの効果は、顔の上にあるものをより濃く見せることから、目鼻立ちをくっきりと顔を立体的に見せるとともに、輪郭を引きしめてシャープに見せる側面もあります。このプラスの面とマイナスの面を天秤にかけながら、もう一度、自分の顔映りを、鏡の前で客観的に見てください。黒のマイナス面のほうが目立ちませんか。大人の女性が、黒い服を選ばないほうがよい大きな理由の一つがここにあります。

2.女性を「重たく」見せる

多くの女性が黒い服を好む理由に、「やせて見えそうだから」という答えもあります。

たしかに、黒には「収縮効果」があります。物が、よりシャープに引き締まって見える効果です。

この効果がよくわかる例として、碁石の大きさがあります。

黒の石の大きさと白の石の大きさは、異なるようにつくられています。黒には収縮効果があるので、実際に同じ大きさにすると、黒の石のほうが小さく見えてしまうからです。そのため、黒の石は白の石より、ほんの少し大きくできています。そうすることで、両者は同じ大きさに見えるのです。

一方、色には「軽い」と「重い」という印象があります。色の明るさと暗さが、見た目の軽さ・重さの印象につながっています。

具体的には、色違いの二つの物があったとき、明るい色のほうが、より軽く感じられ、暗い色のほうが、より重く感じられます。

人の目に見える色のなかで、いちばん明るい色が白で、いちばん暗い色が黒です。

白と比べると、黒は見た目に感じる重さが、なんと1.87倍にもなるという実験結果もあります。黒を着ている人は、そのくらい重たく見えてしまうのです。

体型がスリムで引き締まっている人は、黒の収縮効果で、よりスリムに見えます。一方、ふっくらした体型の人が黒い服を着た場合、収縮効果より重たく見える効果のほうが顕著になります。つまり、ふっくらした体型を黒で覆ってしまうと、ズッシリと重たそうに見せてしまうのです。ましてや、トップスもボトムスも黒。全身を黒で固めてしまったら、黒の分量が大きくなってしまい、さらに重たく見えてしまいます。

最近は、ワイドパンツが人気です。「体型を隠すのによさそう」と、黒いワイドパンツを履いたときには、その幅広の形から、よりズドンと重たく見せてしまうので、要注意です。

いつも黒を着ている人は、まわりの人にも自分自身にも、重たそうに感じさせています。

「やせて見えそうだから」というのは、黒を着る理由にはならないのです。