禁煙を約束したのに……
次に襲ってきたのはコロナ離婚の第二波。4月になると医療以外の職業の女性が相談しに来るようになりました。相談者・山本胡桃さん(38歳・会社員・結婚10年目)は「私が感染し、死んでもいいと思っているんじゃないかしら!」と声を荒げます。
致死率が高いのは喫煙者というニュースを胡桃さんが目にしたのは4月上旬。胡桃さんの夫はヘビースモーカー。「いつどこで感染するか分からないでしょ? 煙草をやめてください」と頼んだところ、夫は「ああ、わかったよ。こんなご時世だからな」と二つ返事で承諾したのですが……それから3日後。胡桃さんが帰宅すると部屋中に煙草の煙が。「禁煙するって約束だったでしょ!」と詰め寄ったところ、夫は「お前の前で吸わなきゃいいんだろ?!」と反論。胡桃さんは夫を再度、説得するのをあきらめ、空気清浄機を各部屋に設置したそうですが、それだけで終わりませんでした。
胡桃さんは「夫にうつしてはいけない」と思い、帰宅すると手を洗い、うがいをし、衣服をはたき、そして在宅中もマスクを着用しました。そして夫にも同じことをして欲しいと頼んだのです。「外から帰ってきたら、ちゃんとしてね」と。
「俺のことを馬鹿にしているだろ? 上から目線で気に入らない!!」
長年連れ添った夫婦間で気持ちを伝えるのは恥ずかしくて素直になれないのでしょうが、コロナウイルスという人生最大級の危機に遭遇してなお、夫は意地を張ったので胡桃さんは呆れて物も言えなかったそう。
「うちは親から『自分さえ良ければいい』という考え方はいけないと教わりました。主人は違うみたいです。主人といると息子(6歳)まで自己中な人間になりそうで怖いんです!」と胡桃さんは言います。5月中旬、家庭裁判所から調停の申立書を取り寄せたのが、筆者が把握している胡桃さんの近況です。
コロナ離婚を避けるためにできることはあるか
「コロナ離婚」の相談をしに来る妻に共通しているのは夫に対する期待値が高いことです。例えば、夫は「自分のことを第一」に動くのが当たり前だと思っている節があるので、夫が少しでも感染予防を怠るとヒステリーを起こします。
このように感染対策を人一倍、頑張っている自負がある妻は危険です。夫も「同じくらい頑張ってくれるはず」と決め付ける傾向があります。そのため、夫の頑張りが足りないと歩調を合わせるつもりがないと感じるのです。でも思い出してください。今までの結婚生活でも夫と話し合い、意見を言い、結論を出してきたのなら、今回のコロナでも夫は期待に応えてくれるでしょう。しかし、これまで夫とまともに話さず、勝手に決め、事後報告してきたのに今回だけ特別というのは無理があります。
コロナ離婚を防ぐには自分は自分、夫は夫のペースがあることを理解し、相手のことを尊重し、そして期待しすぎないことが大事です。