次の金融崩壊が私の人生で最も大きなものになる
しかし、そういった量的緩和や財政支出から人工的なバブルが膨らんだ場合の再暴落をロジャーズ氏は予測しています。
「おそらく、株価の値下がりは今後も続く。50%、60%、70%、いやそれ以上だろう。実体経済の落ち込みは、いずれ金融機関の破綻をもたらし金融システム不安を引き起こす。いつとは断言できないが、それは必ず起こる。」
ロジャーズ氏は次の金融危機が過去最悪になる理由として、世界中の国が非常に大きな債務を抱えている問題を指摘しています。リーマン・ショックの時は中国がキャッシュを抱えており、それが危機脱出の一つの鍵になりました。しかし、その中国も今では大きな債務を抱えているのです。
「中央銀行も無限に債務を増やし続けることはできない。いつの日か終わりが来る。ある日突然、相場参加者のモメントが変わるときが必ずやって来る。その局面では、もはや誰も世界経済を救うことはできない。次の危機はそうした最悪の危機になると見ている。」
老後資産を作るには個人がより勉強する必要がある
空前の危機において、株式指数に連動しているETFなどは大暴落をしました。誰もが持っている大型株や株式連動のETFだけを保有しても分散にはならず、下落相場では真っ先に売られます。
他方で債券などにも分散投資をしていた人は、下落幅が限定的で済みました。また、この局面でも大きく上昇しているアセットクラスもあります。金は史上最高値を更新しています。誰もが下落相場に備えてポートフォリオの一部に金や金価格に連動するETFなどを組み込むことを考えてもよいのかもしれません。
日本円の価値が将来的に下がることも考えられます。日本はコロナ対策で巨額な予算を組みましたが、諸外国に比べて対策が後手に回った感は否めず、今後効果が出なければ、国債の格付けなど下がるリスクもあります。現在のところ日本円の価値は維持できていますが、将来的には円安になるリスクもあるでしょう。
すでにシンガポールでは日本円をあずけるとマイナス金利になる金融機関も増えています。自国通貨で預金をするとお金が減るのですから、日本人も米ドルなど一部通貨を分散してもよいと思います。ただし、コロナ禍が長引くと金融危機につながる可能性もあるため、一つの銀行に預ける額は預金保護の範囲に分散しておく方が安全でしょう。