コロナ不況で学費減額分はすべて寄付

これから本格的にやってくるコロナ不況。かつての米同時多発テロ、リーマン・ショックや日本における東日本大震災の時よりも大規模な経済ダメージが予想されます。一見優雅に見えるイギリス上流階級の人々たちは、先祖代々、不況を経験してきたからこそ、倹約精神を子孫に伝えることが大事な遺産の一部なのです。ただし、どれだけ節約、倹約をしても子供の教育は彼らにとって第一優先。前述のスージーの長男は発達障害専門の私立校に通っており、学費は普通の私立の2倍でした。無事、大学入学を果たしたようで彼女の肩の荷も下りたことでしょう。

諸外国と同じく学校は休校にあり、オンライン授業になったボーディングスクール。次男の学校は今学期の学費が40%割引になりました。するとその40%分を寄付する親が相次ぎました。今回のコロナ不況で家庭の経済状態が変わり、学費が払えなくなった生徒のためで、集まった金額は何と20万ポンドです。さすが本物の上流階級、普段の倹約生活で貯めたお金はこういうところできちんと社会に還元するのです。

写真=iStock.com

モラティーユ 康子(もらてぃーゆ・やすこ)
イギリス教育アドバイザー、コンサルタント

青山学院大学卒業、外資系金融にて東京、ロンドンで働く。出産後コルドンブルーロンドン校を卒業、自宅で料理教室を開く。その後夫の転勤に伴い、東京、シンガポールへと移り住む。子供2人はイギリスのボーディングへ。