事態が悪化しても冷静でいられる秘訣

アテクシは、自分を落ち着かせるために「いつか感染するかも」「仕事ができなくなるかも」という可能性も考えているわ。ギリギリになったらこうしよう、感染したらこうしよう、と想定しておくと、事態が悪化していっても冷静さを保てると思うの。

そして、自分が絶対に守りたいものを決めておくこと。

アテクシだったら、患者さんが安心して受診できるこの職場環境を守りたい。もし感染が拡大して一時的に診療ができなくなったとしても、感染が終息したらすみやかに再開できるように準備をするつもりよ。

「どんなに悪くなってもここは守る!」というものがあると、人は強くなれるわ。もちろん自分の命を守ることがいちばん重要よ。生きててなんぼですからね!

戦争にも例えられる今の状況は、ひとりの力では乗り切れないわ。家族と、友人と一致団結して、日本で力を合わせ、人類みんなで手を取り合って。そういう大きな目で見ることも大事だと思うわ。弱いところ、みにくい部分をさらけ出すこともあるかもしれないけれど、それはお互いさまよ。

家にいる時間が増えたり、自分や家族と向き合う時間ができたりと、コロナウイルスの影響は悪いことだけではないわ。不慣れなものに慣れる練習と思って、そしてこの経験がきっといつか自分の助けになると思って、みんなで乗り越えていきましょう。

構成=浦上藍子 写真=iStock.com イラスト=カツヤマケイコ

Tomy(とみー)
精神科医

1978年生まれ。某国立大学医学部卒業後、医師免許取得。ゲイである自分に何か答えをくれるかもしれないと精神科医局への入局を決意。精神科病院勤務を経て、現在はクリニックの常勤医。『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)、『失恋、離婚、死別の処方箋 別れに苦しむ、あなたへ。』(CCCメディアハウス)など著書多数。