30代、40代の3人に2人が歯周病。50代から歯が抜け始める人も
歯周病はプラーク(歯垢)の中の歯周病菌が歯と歯の隙間に入り込み、歯周病菌が増殖することで歯茎に炎症を起こし、その炎症が歯の周りの組織を少しずつ破壊していく病気。歯肉炎(歯茎のみが腫れている)と、歯周炎(歯を支える組織が破壊されて最終的に歯が抜ける)に大きく分けられる。つまり、“歯茎が腫れていて血が出れば歯周病にかかっている“と言える。
「“30・40代の3人に2人が歯周病”とよくいわれますが、実は20代のデータもそう大きく変わりません。15~19歳でも50%の人が歯周病です。つまり、磨き方が悪かったり、定期検診を受けていなかったりすれば、誰でも当たり前にかかる病気なのです」
むし歯のように痛みなどの自覚症状がなく進行するのがやっかいなところで、“歯茎が腫れているだけだけ“と放置すると、歯肉炎が長く続くことで少しずつ歯周炎へと移行し、気づいたときには歯を支える骨が溶けて、歯を失うこともなりかねない。大月先生によると、歯周病が原因で歯が抜け始めるケースは50代から急増するという。これは30~40代で歯周病にかかっていることに気づかずに見過ごしてしまうことが影響していると考えられる。
歯を失うばかりでなく、糖尿病やアルツハイマー型認知症、心筋梗塞など全身疾患と関連しているかもしれないことがわかってきた。歯周病は口腔内の疾患にとどまらない病気なのだ。
歯を失うと平均で6歳老けて見られる
ここで衝撃的な画像を紹介しよう。歯を失う一番の原因となる病気は歯周病(出典:平成30年 永久歯の抜歯原因調査報告書)だが、歯が抜けるとどの程度印象が変わるのか、モデルの写真をすべての歯が抜けた状態に加工したものを比較してみよう。
Q 写真の人物が何歳に見えるか答えてください。
すべての歯が抜けたように加工した写真では、加工前に比べて平均で6歳も老けてみられるという結果になった。これは、歯によって固定されて安定されている上顎と下顎が、歯を失うことで近づくため。また、歯は唇や頬の粘膜を支え、口元のハリに重要な役割を果たしているが、歯がなくなることで口元のシワが増え、口元が凹んで貧相な印象になるためだという。
すべての歯が抜けた場合の極端な例ではあるが、数本失った場合にもさまざまな弊害が起こる。
「数本失っただけでも噛み合わせが変化し、肩コリなどの影響がでることもあります。また、前噛みや片噛みになるなど食べにくくなることで食事を楽しむのが難しくなります。しっかり咀嚼をせず飲み込むことにもなり、健康に影響をおよぼします」