「ほぼ日手帳」と「ハーゲンダッツ」の意外な共通点

そういう意味でいうと、商品カテゴリーはまったく違いますが、ハーゲンダッツのCMと近い発想でつくられているのが「ほぼ日手帳」です。説明するまでもありませんが、「ほぼ日手帳」とは糸井重里さんの主宰するサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」が開発・発売した手帳で、根強いファンのいる大ヒット商品です。

普通、手帳は軽量化が大事ですから、少しでも紙の使用量を減らすために、見開き2ページに1週間分、あるいは1カ月分の予定が書けるようになっています。ところがほぼ日手帳は1ページに対してまるまる1日を割いている。ですからかなり分厚い手帳になっています。1日1ページもあると、単に予定を書くだけではスペースがスカスカに余ってしまいます。そこでほぼ日手帳は、その日の予定だけでなく、イラストを描いたり、チケットの半券を貼ったり、その日に考えたことを書いたりと、自由に使うことを提案しています。つまり、「ほぼ日手帳」とは、スケジュール管理をするための手帳とは対極にある存在。自分を振り返ったり、日々を楽しんだりするために使う手帳なのです。

「不思議の国のアリス」に、「なんでもない日、おめでとう」という言葉が出てきますが、ほぼ日手帳はまさにその「なんでもない日を大事にしよう」という発想でつくられています。特に何もなかった日でも、手帳を開いて今日一日を振り返る時間を持つことで、自分をねぎらう。そこがハーゲンダッツの「儀式化」と似ていると私は思います。

一番幸せを感じられるのはハーゲンダッツの何味か?

ところで自分をねぎらい、幸せを感じるための儀式には、ハーゲンダッツのどのフレーバーがふさわしいでしょうか。ハーゲンダッツにはそのときどきの季節限定フレーバー以外にも、ストロベリー、グリーンティー、クッキー&クリームなどいろいろな定番フレーバーがあります。そのなかでも「ああ、やっぱりハーゲンダッツ好きだわ」と思わせるものは、果たして何味か?

それはバニラです。なぜならほかの味が混ざっておらず、アイスクリームそのものの濃厚な味が味わえるから。「これはほかのアイスクリームとは違う」と認識しやすいバニラは、ハーゲンダッツというブランドを体験してもらうのに最も効果的。ですから「儀式化」のCMで使われているのもバニラですし、おそらくフレーバー別の売り上げも、バニラが圧倒的に多いのではないでしょうか。

私はよくスーパーの店頭で消費者がどんなふうに商品を選ぶかをこっそり観察しているのですが、若い人ほどハーゲンダッツのバニラを購入することが多い。おそらく限られた予算のなかで食べたことのない季節限定の商品に手を出すのは冒険すぎる。それよりは確実においしいバニラがいいと考えるのでしょう。

たまにスーパーがハーゲンダッツを安売りするときを狙って、まとめ買いをする方を観察していると、カゴに入れた10個のうち5個がバニラ、ということが何度かあります。おそらく現実のシェアもこれと近いのではないでしょうか。