女性ではなく男性向け研修をすべき理由

会社全体がそんな風土であれば、若い社員も自然と同じ考え方になってしまいます。これが、女性管理職による男性部下のマネジメントを難しくしているのだと思います。こんな思い込みは、できる限り早く正さなければなりません。

対策としては、上層部の男性たちに女性管理職を増やすにはどうしたらいいのかを考えさせるような研修を受けさせる必要があります。日本では、女性の意欲を向上させようと女性に研修を受けさせる企業が多いのですが、女性に管理職は無理だと考えるような男性が大多数の職場ではあまり効果が期待できません。

企業には、まず男性の意識を変えていく努力をしてほしいところです。ただ、意識改革には時間がかかるので、男性向けの研修を行ったからといって早急な改善は期待できません。では、悩んでいる女性管理職が自分で、今すぐ始められる対策は何でしょうか。

“理想の上司”を演じる必要はない

まず1つめは、「なめられるのは自分が悪いからだ」と考えないこと。悪いのは女性を軽視する組織風土や昭和的な思い込みであって、本人のマネジメント能力のせいではないのです。管理職である以上、客観的な振り返りは必要でしょうが、男性部下の思い込みまで自責で考える必要はありません。

2つめは、今すぐ尊敬される上司になろうと無理をしないこと。女性の場合、ほかの男性管理職以上に猛烈に働いたり、より大きな成果をあげようと頑張ったりしてしまいがちですが、それでは心身ともにすり減ってしまいます。

そんな状態を長く続けることはできませんから、下手をすると体調を崩したり、仕事への意欲を失ったりしてしまう可能性があります。

キャリアは長期的に考えるべきものです。今、無理をしてまで“理想の上司”を演じるよりも、“自分らしい上司”を目指して自己成長を続け、キャリアを育んでいくことのほうに重きを置いてほしいと思います。