大統領候補レースで注目すべきは……

一方これに先立ち、今月初旬にアイオワ州で行われた民主党の党員集会を巡り、ブティジェッジ氏への支持票を投じた女性が、投票後に同氏の性的指向を知ったため、信仰を理由に挙げて、投票用紙を取り戻すよう訴えている映像がSNSで一気に拡散し、こちらも大きな物議を醸した。映像で確認できるやり取りを通じると、この女性はキリスト教徒と見られており、同性婚は自らの信義に反するとの立場を示している。

民主党の大統領候補レースの行方は混沌こんとんとしており、現時点で現職・トランプ氏への挑戦権を誰が獲得するかは、まったく見通せない。ただ、性的マイノリティーのブティジェッジ氏のスタンスが今後、続く各州の党員集会や予備選でどの程度受け入れられるのか否か、という点は注視した方がいいかもしれない。

家事をしない男はいるが子どものケアはする

多様な人種や宗教、居住地域、収入などによる違いが大きすぎるため、一概に決めつけるのが困難で、なかなか一言で言い表せないのが米国の特徴だ。LGBT論に限らず、男女の性的役割に関し、私が暮らす東海岸では「『男であることを強いられる』のは米国も同様」「信仰宗教が深く関わるので『男は強くたくましくあるべき』との保守的な考えに染まっている人は多い」との意見に接することは多々ある。

他方「子どもの送り迎えやバーベキュー時の調理全般など、家事、育児をしっかりしてこそ父親だ。そして、妻を大切にする」「共働き家庭で、家事をほとんどしない父親もいるが、子どものケアをしていない人はいないのではないか」との声も交錯する。確かに私自身、朝と午後の1日2回、長女、長男それぞれの学校への送迎を連日続けているが、アジア系や欧州系も含めて人種を問わず、父親の姿を見かけるのは全く珍しいことではない。