民主党の大統領選候補者争いで、ピート・ブティジェッジ氏が注目を集めている。同性愛を公表している同氏への反応は、LGBTに寛容に見える米国社会においても複雑なものがあるという――。
民主党の大統領選候補者を争うニューハンプシャー州の予備選で支持者に語り掛けるピート・ブティジェッジ氏=2020年2月11日
民主党の大統領選候補者を争うニューハンプシャー州の予備選で支持者に語り掛けるピート・ブティジェッジ氏=2020年2月11日(写真=EPA/時事通信フォト)

LGBTに寛容に見える米国社会の影

ドナルド・トランプ米大統領の対立候補を決める民主党の大統領選候補者争いで、一気に躍進し、注目を集めるピート・ブティジェッジ氏。同性愛を公表済みの同氏に対し、ある意味、世界で最も男らしさが要求される米大統領にふさわしくないなどとする声が国内で出ており、波紋を広げている。日本よりもLGBTに寛容に見える米国社会だが、内実は宗教観も影を落としており、様々な事情が絡み合っている。家事、育児の分担も含め「性的役割分業」に支配された「男らしさ」や「女らしさ」が求められる日本の社会構造と重なる部分が往々に見られる。

「長年にわたる保守的な人から、家族観についての説教を受けるつもりはない」。ブティジェッジ氏は、自らについて「米国はまだ、ゲイが大統領に当選できる国ではない」と批判したトランプ氏に近いラジオ司会者に対し、テレビ番組で反論。2年前に同性婚をした夫を愛し、誇りに思っているとの思いも重ねて強調した。

この司会者は同様に「どう見えるだろうか? 討論会のステージで、『Mr.Man(男の中の男)』であるトランプ氏の隣で、キスをする男を」などとも切り捨てている。トランプ氏を男らしさの象徴と捉えることで、その対比として、ブティジェッジ氏の性的指向を強く印象付け、トランプ氏の援護射撃をしている形だ。