※本稿は宇田川元一『他者と働く 「わかりあえなさ」から始める組織論』(NewsPicksパブリッシング)の一部を再編集したものです。
相手を変えようとする前にやるべきこと
社会で働く中で、私たちは気がつかないうちに「私とそれ」の関係性を相手との間に構築していることがよくあります。うまくいっているならば、無理にそれを変える必要はありません。しかし、そこから何か想定外の問題が生じたときなど、適応課題(人間関係などが妨げになり技術的な方法で解消できない課題)が見出されたとき、私たちはその関係性を改める必要が生じていると考えることができるでしょう。
その一歩目として、相手を変えるのではなく、こちら側が少し変わる必要があります。そうでないと、そもそも背後にある問題に気がつけず、新しい関係性を構築できないからです。
しかし、「こちら側」の何が変わる必要があるのでしょうか。
それはナラティヴです。「ナラティヴ(narrative)」とは物語、つまりその語りを生み出す「解釈の枠組み」のことです。物語といっても、いわゆる起承転結のストーリーとは少し違います。