東京・銀座に事務所を構える齋藤健博弁護士は、近年マタハラの相談が相次いでいると話す。あからさまな手法ではなく、やんわりと退職や降格の勧奨が始まるので、思わず承諾してしまう人も多いという。会社とギスギスすることなく、マタハラを回避する方法を教えてもらった。
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なぜマタハラの相談が増えているのか

妊娠した女性社員が、会社から退職勧告を受けたり、意に添わぬ配置転換をされたりする「マタニティ・ハラスメント(マタハラ)」の相談が急増しています。しかし私が思うに、これは一見増えているように見えるだけで、本当に増えているわけではないと思います。

マタハラという呼び名こそ最近のものですが、昔からマタハラ自体はありました。そしてマタハラをされた女性のほうも、「仕方がない」「そういうものだ」と受け止めてきた。しかし女性の社会進出にともなって人々の意識も変化してきます。2016年には産休や育休を取る社員に対して不利益な処分をすることを禁ずる、女性活躍推進法という法律ができました。そして17年に男女雇用機会均等法で、「会社側が(マタハラを含めた)ハラスメントを防止する措置を講じなさい」と定められてからは、さらに相談件数がどっと増えた印象があります。つまり法整備が進んだことで、隠れていたマタハラが明るみに出つつあるということなのでしょう。