忖度することの是非

自分の夢や信条に従って仕事をしたいと思う人は多いだろう。

サクラには、3つの夢がある。「故郷に橋を架けること」「一生、信じ合える仲間をつくること」「その仲間とたくさんの人を幸せにする建物をつくること」。いずれも素敵すてきな夢であるが、一人ではできない夢であり、周りとともにつくっていくものである。実現しようと思えば、周りと協調していくことも必要である。どうすれば、周りと協調しながら、自分がやりたいことをかなえていくことができるだろうか。

よく語られるように、「忖度」という単語には、ネガティブな意味はない。「相手の心を推測する」という意味である。近年、上役の意向を推し量り、上の者に気に入られようとして、その意向を推測するという意味合いで使われるようになった。上役からすれば、自分の意向をくみ取って、自分が言う前に、いろいろなことが準備されているということであれば、「よく気が利くやつだ」ということで、覚えもめでたくなる。そして、出世も早くなる。実際、「気が利く」ということが昇進の基準になっている組織もある。そういう仕組みで回っている組織は、昔からあるし、今でもある。

忖度できること、つまり、相手が何を考えているか推測する能力は、社会的動物である人間にとって、大切なことである。いつも相手の意向を言語で確認しながら、行動することは現実的でなく、推測して動くことは常にあるからである。

「上司の意向が正しくない」状況が増えている

問題は、忖度してからの行動、つまり、上役の意向に沿って何かを行うことが、組織にとってプラスでないことを起こしてしまう場合である。

上役の意向はわかるのだが、組織にとってプラスになると思えないとき、部下はジレンマに陥る。組織にプラスにならないとわかっていても上役の意向通りの行動をするのか、意向を無視するのか。最近、このケースは増えている。なぜなら、環境が変わり、昔の成功モデルが通じなくなったとき、上役が思うことが正しくないケースが多くなってきているからである。そのようなジレンマに陥ったときに、どうすればいいのだろうか。

そのようなケースにおいて有効なアサーティブ・コミュニケーションという方法がある。