バングラデシュのスタッフが楽しく働けるように

新旧の資本主義について本やスマホで読むことが多い。従来型の資本主義社会の可能性と限界を学びつつ、ESG投資やSDGsなど“新しい資本主義”の形を模索し、自分の事業に概念化させるための方法を本から学んでいる。(撮影=平松唯加子)

経営者ともなればスタッフのマネジメントにも苦心する。「他者の心のコントロールは難しい。時に“北風と太陽”のようなアプローチも必要」と心理学の勉強もした。「バングラデシュではローカルスタッフのほとんどがフェイスブック(FB)中毒で、業務中も連続投稿するので困ったなと(苦笑)。だからFB専用の時間と場所をつくり、仕事を頑張った人にはその時間だけ許可しました。まさに“太陽”的なアプローチ。でも、メリットもあります。バングラデシュはITポテンシャルが高いので、この状況もビジネスの種になりえます」

酒匂さんは人生を25年ごとに区切り、おのおのの段階で自分がなすべきことを設定。25歳までは勉強とインプット、次の25年は、世の中に発信していく期間、さらにその後の25年は次世代の人に自分が得たものを伝えていくというライフプランだ。現在の酒匂さんはアウトプットの真っ最中。どんどん世間に発信していきたいと、攻めの姿勢を続ける。

文=東野りか 撮影=神ノ川智早、平松唯加子 写真=iStock.com

マニヤン 麻里子(まにやん・まりこ)

1980年生まれ。一橋大学社会学部卒業。フランス・HEC経営大学院アート経営学修了。その後パリの出版社でグローバルマーケティングを担当。帰国後、ソシエテ・ジェネラル証券、ゴールドマン・サックス証券などを経て、2016年に「TPO」を起業。

酒匂 真理(さこう・まり)

東京大学大学院農学生命科学研究科修了。卒業後、外資系消費財メーカーで商品開発、マーケティング業務を経て、2015年に「miup」を起業し、海外で子会社を立ち上げる。19年の「第2回日経ソーシャルビジネスコンテスト」にて大賞を受賞した。