一般職から総合職へ転換し、常に全力投球で努力し続けた陶山さなえさん。現在のキャリアを切り拓いた3回の転機とは、そして女性管理職が身につけるべきスキルとは──。リーダーを目指す人なら知っておきたい、ステップアップの秘訣が満載です。

(※本稿は、2019年8月7日、しなやかに情熱を持って働く女性たちのための交流会「PRESIDENT WOMAN Salon」の第5弾「SOMPOコミュニケーションズ 代表取締役社長 陶山さなえさんを迎えて」の内容から構成しています)

3つの転機を経て花開いた“遅咲き”のキャリア

当社は、損保ジャパン日本興亜を核に、国内外の保険引受事業や介護・ヘルスケア事業を展開するSOMPOホールディングスグループにおけるコンタクトセンター運営専門会社です。現在、約500名の社員と約760名のスタッフが働いています。

私は1979年に一般職として、安田火災海上保険(現・損保ジャパン日本興亜)に入社しました。以来、保険金を支払う部署を中心にキャリアを積んできました。部長に昇格したのは53歳ですから、まさに“遅咲き”です。

焦った時期もありましたが、今思うのは「キャリアアップの適齢期は人によって違う」ということ。私にとっては、きっとあの時期が適齢期だったのでしょう。皆さんも、もし昇進が遅くても決してあきらめないでください。周りと比べず、今任されている仕事に打ち込んでいけば、きっと道は拓けると思います。

私は一般職からキャリアをスタートしました。最初はお気楽な腰かけOLでしたが、3つの転機を経て今に至っています。第一の転機は入社直後、総合職の素敵な先輩との出会いです。仕事への意欲がとても高い方で、私にも総合職レベルの業務を熱心に指導してくれました。そのおかげで仕事の面白さに目覚め、腰かけOLだった私が“やる気OL”に変身(笑)。20代半ばで出産した後も仕事を続けたい気持ちが強く、義父母との同居に踏み切って復職しました。

第二の転機はそれから約12年後。阪神淡路大震災で本来であれば男性管理職が担当する現地対策本部立上げ支援や、被災地支援の業務を任命され、その経験を通して人生観が大きく変わりました。同時に、リーダーとしてのやりがいや責任の重さにも気づき、これをきっかけに「キャリアアップしたい」という思いが明確になり総合職転換にチャレンジしました。

その後は仕事に邁進する日々が続きました。やがて次席に抜擢されたのですが、普通はここから4~5年で課長になるのに、私は約8年も同じポジションのまま。8年連続で社内表彰を受賞し、自分なりに業績を上げていると思っていたのに、昇進では後輩の男性3人に次々と追い抜かれました。当時は虚しい思いをしましたが、「あの時の私は課長職に見合ったスキルが不足していたから昇格できなかった」と昇格後に気づきました。