転勤に負担を感じる男性が9割

一方、海外転勤に関しては、30.7%の「1カ月超から2カ月前」を筆頭に、「3カ月より前」が30.4%、「2カ月超から3カ月前」の23.9%となっており、海外引越には数多くの準備が必要となる実情を、企業側も熟知し、一定の配慮をしている姿勢がうかがえる。

とは言え、国内外を問わず、配偶者の仕事だけでなく、子どもの学校など家族に与える影響は甚大で、時には大きな犠牲を伴うのが転勤だ。転勤命令を受けた本人の人生設計も変化を余儀なくされ、家族を帯同させるか、単身赴任にするかなどの選択を極めて短期間に迫られるのは、かなり酷な話ではなかろうか。

前出の調査で、転勤経験のある正社員を対象に、転勤や単身赴任の認識を聞いてみると、「できれば転勤はしたくない」、「できれば単身赴任はしたくない」と答えた人が、それぞれ39.6%、53.5%。さらに、85.8%が「転勤は家族に与える負担が大きい」と回答しており、その内訳を性別で見ると、女性の80.2%よりも、男性の87.0%の方が約7ポイントも上回っている点が目を引く。(図表1)

この結果を分析するに、女性の社会進出が進み、共働き世帯が増加する中、配偶者の仕事のことを考え、子どもの教育問題にも関心を寄せる男性が以前よりも着実に増えている、ということかもしれない。「会社の転勤命令は絶対で、家族は有無を言わさず付いて行く」ことを当然視していた男性社員像は、過去の残像になっている可能性もある。