自己認知ができる人はなぜ心が強いのか
「汝自身を知れ」というのはソクラテスの名言ですが、このように「なぜ、自分がこう感じているのか」を客観視し、自覚することを心理学の世界では、「自己認知」と呼びます。
なぜ、自己認知が大切なのかと言うと、私たちの感情はマイナスの状態から一気にプラスに転じることがないからです。必ず一度、フラットな状態になってからプラスないし、マイナスに転じていきます。
自己認知がうまくできていると、調子がいいときも「今は自己肯定感が高い状態だから、小さな失敗があってもすぐに切り替えられるのだな」と自分を客観視することができます。
また、調子が悪いときも「些細な問題が大事のように感じて仕方ないのは、自己肯定感が落ちているからだな」とわかっていれば、消極的なマインドが続く「自動思考の罠」に陥りにくくなります。罠に陥らないので、自分で自分の心を整えることができ、あなたが感情の主導権を握ることができるのです。
つまり、「自己肯定感は揺れ動くものである」と知り、「今、自分の自己肯定感はどういう状態にあるのか」を意識することで、どんな環境下でも自分をフラットな状態に戻すことができます。自分で本来の自分に戻すことができるのです。
本当の自分に戻る言葉
私はよくクライアントや講座の受講生、友人、知人に「一喜一憂しなさんな」というフレーズを投げかけます。
これは相手にフラットな状態を意識してもらうための言葉です。
うれしいことがあって大いに喜ぶのもいい。つらいことがあって、ずんと落ち込むのもいい。でも、喜びすぎたり、落ち込みすぎたりを繰り返していると心が疲れてしまいます。
大きく心を上下動させて、そのギャップで消耗しないための言葉が、「一喜一憂しなさんな」です。この言葉を言うだけで、心にゆとりが生まれます。自己認知を行う時間ができます。そして、本来のあなたに戻るフラットな状態をつくることができるのです。