ゆとりある働き方でも日本をしのぐ経済成長率

熊谷 徹『ドイツ人はなぜ、年290万円でも生活が「豊か」なのか』(青春出版社)

GDPの成長率においても、2017年のドイツは2.5%で、日本(1.7%)に大きく水をあけている。2014年以降は、ドイツ経済が拡大するテンポは日本経済よりも速くなっている。

さらに、財とサービスの貿易黒字を合計した経常黒字でも、ドイツは2017年に中国を追い抜いて世界1位となった。その要因は自動車、機械、プラントなどの輸出が好調であるためだ。ドイツの経常黒字は日本を約41%上回っている。

現在ドイツの景気は、1990年の東西統一以来最も良い状態にある。休みが長くても、物づくり大国ドイツの力は衰えていない。これらの数字は、高いワーク・ライフ・バランスを維持しながら、経済成長を続けることが不可能ではないことを示している。

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熊谷 徹(くまがい・とおる)
ジャーナリスト

1959年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒業後、NHKに入局。ワシントン支局勤務中に、ベルリンの壁崩壊、米ソ首脳会談などを取材。90年からはフリージャーナリストとしてドイツ・ミュンヘン市に在住。著書に、『次に来る日本のエネルギー危機』、『ドイツ人はなぜ、1年に150日休んでも仕事が回るのか』(青春出版社)、『住まなきゃわからないドイツ』(新潮社)、『なぜメルケルは「転向」したのか』、(日経BP)、『偽りの帝国 緊急報告・フォルクスワーゲン排ガス不正の闇』(文藝春秋)など多数。『ドイツは過去とどう向き合ってきたか』(高文研)で2007年度平和・協同ジャーナリズム基金賞奨励賞受賞。